「検事はある程度弱気であるべきだと本当は思ってます」

再審開始が決定しているのに有罪立証しようとするのは人道的に問題が大きいと語るのは、市川寛氏。検察官というのは「目の前にある法律を執行するのが仕事だ」とうそぶく癖があると言う市川氏は、検事時代、有罪を確信する上司に逆らえず、取り調べで被疑者に暴言を吐いたことがあるという。

元検事 市川寛氏
「八つ当たりをする感じで怒鳴ったり、最終的には暴言を吐いてしまった。”ふざけんなこの野郎、ぶっ殺すぞ“って言いました」

市川氏は異例にも裁判で自白を強要したことを告白。結果、被告は無罪になった。その後、彼は検察を辞めた。検事には二つのタイプがいるという。

元検事 市川寛氏
「検事は荒っぽく言うと”強気の検事”と“弱気な検事”、二つに分けられるんです。事件を起訴するにあたって、10の証拠が必要な時、すべてが完璧に揃うことはあり得ない。そういう時に“2つ足りない”ことに着目してしまって怖気づいて『この事件は10の証拠のうち2ないし3足りませんよ。これちょっと危ないんじゃないですか』って上司に意見を具申するのは“弱気な検事”というんです。一方“いや7あるでしょ”っていうことで『7の証拠がありますからこれは筋から言って行けます。なのでこの事件起訴しましょう』と犯罪者と戦う姿勢を崩さない検事(強気な検事)は天晴だと評価が高くなる。(中略)私は負け惜しみといわれるの覚悟で言いますが、検事はある程度弱気であるべきだと本当は思ってます