みなさんにも「どうしてもウマが合わない人」いませんか?

 レバーを回して出てきたものは…カプセルが出てくる、いわゆる「ガチャ」のように、「出てくるものがランダムで、自分では選べない」ことに「●●ガチャ」というフレーズがよく使われます。

 「親ガチャ」に、「隣人ガチャ」や「時代ガチャ」…さらにSNSでは、こんな「ガチャ」も…

「上司ガチャ失敗になったら絶望しかない」

 「上司ガチャ」、誰が上司になるかは自分で選べないことから、上司の当たりはずれについての投稿が相次いでいます。
 そんな中、部下が上司を選べる会社が登場!

さくら構造 田中真一社長
「どの上司と働きたいかを1年に1回、アンケートをとって、その働きたい上司と1年間働く…」

 職場の新たな上下関係をもうひとホリします。

 上司ガチャについて、全国の会社員に実態調査をした結果、8割以上の人が「はずれたと感じたことがある」と回答しました。

 30代
「(部下を)叱るのはいいですけど、感情は入れない、否定しないっていうところが一番」

40代
「上司との価値観の違いによって、恵まれている、恵まれてないっていうのが生まれるのはしょうがないのかなと、いつの時代もそうだと思う」

 そんな上司ガチャの不満をなくそうと、大胆な改革をした会社が…

 さくら構造 田中真一社長
「上司を選択する、上司選択制度という制度です」

 札幌市北区にある、建物の構造設計などを手掛ける「さくら構造」。

 およそ100人の社員が、部長にあたる「班長」のもと、それぞれの班に分かれて働いています。

 年1回、部下が上司を選ぶ「上司選択制度」を始めたのは、4年前。
 きっかけは、上司とうまが合わないという理由で退職した社員の存在でした。

さくら構造 田中真一社長
「『ミスマッチ』『運が悪い』そういうことで、自分のキャリアがリセットされちゃうみたいな感じになるのは、本当悪いし、申し訳ない」

 力を入れたのは、上司を選ぶ時の参考にする「マニュアル」作りです。

 まず、上司が自分の長所や短所、各業務の得意、不得意などを〇×△で記入。
 さらに、社長やほかの社員からの評価を加味した、いわば”上司の通信簿”です。
 これを全社員に配付します。

 さくら構造 田中真一社長
「おそらく(上司の)好き嫌いよりも、自分の技術を磨いていくとか、成長していくってことを考えて、そういったことがしやすい上司を選ぶ、そういう傾向があるように思いますね」

 上司の山本さんと部下の門田さんです。上司選択制度について、どう思っているのでしょうか?

上司 山本健介さん
「選ばれなかったらどうしようっていうのもありますけど、会社的にいいことかなと思います」

部下 門田太陽人さん
「最初はどちらかというと混乱したというか、組織に個人が合わせるっていうのが普通だと思うんですけど、自分のキャリアとかに合わせて上司を自由に選べるっていうのは、個人だけのことを考えたらありがたいなと思います」

 2人は、この制度で生まれた「チームワーク」に大きなメリットを感じています。

上司 山本健介さん
「(自分の)できないところを知って入ってくれたメンバーなので、そこを逆にメンバーたちが補ってくれる効果があって、それが逆によかったなと思いますね」

部下 門田太陽人さん
「人の弱いところもちゃんと受け入れて、何か自分の強いところで補える、補うっていう考えが自然と定着したので。結果、良かったかなと思います」

 上司選択制度を始めてから、会社を辞める人が大幅に減ったということです。

さくら構造 田中真一社長
「自分で環境を選んでいる、上司を選んでるわけですから、少なくとも半分は選んだ人の責任も出てくるので。自分事になったというか、責任感を持って仕事に取り組めるようになってきたような感じはします」

 あらためてデータを見ると、「上司ガチャにはずれた」と感じる人が8割以上。
 それだけ上司に対する不満が渦巻いているということになります

 この上司ガチャの不公平感をなくすために、札幌の会社がはじめた「上司選択制度」ですが、上司選択制度でこんな事態も起きました。

 ある上司が、1人の部下にも選ばれなかったため、この上司のチーム自体が消滅しました!
 これまで4年間で2回あったそうです。
 この上司の方は、会社に居にくくなるかと思いきや、安心してください、働いてますよ。
 今は、社長直属の”部下”となり、管理職ではなく、営業や技術系の現場の仕事に携わっています
 社長曰く「上司の時より、いきいきしている」そうです。
   
 働き方が多様化する中、上司と部下の関係も大きく変わっていきそうです。