
新型コロナの感染拡大前までは飛ぶ鳥を落とす勢いだった沖縄観光。特にインバウンド=外国人観光客は年々急増し、2015年に100万人を突破してからは急速に成長を続け2019年には過去最高となる293万人を突破しました。しかし新型コロナの影響を受け、外国人観光客は2020年には25万人、21年には0人となるなど、現在に至るまで沖縄経済は大きなダメージを受けています。
一時は12か国以上からの観光客が訪れた沖縄。さらに外国人観光客の受け皿を広げるために2019年に改築を行った那覇空港でしたが、翌年には海外便の全てが運航停止になりました。再開の見通しが立たない中、多くの店舗が空港施設から撤退するなど厳しい状況が続います。
島袋剛記者
「2020年3月に外国からの受け入れを停止した、那覇空港国際線ターミナルです。観光客でごった返していたこちらのフロアもがらんと静まり返っています。こうした中、来月から2年3か月ぶりに再開することが発表されました。」

岸田 総理
「来月10日から添乗員付きのパッケージツアーでの観光客の受け入れを再開します。あわせて6月中に新千歳空港と那覇空港において、国際線の受け入れを再開できるよう準備を進めます」
岸田総理は国際交流会議の講演で今月10日から外国人観光客の受け入れを再開し、那覇空港と新千歳空港で国際線の発着を来月中に再開できるよう準備する方針を明らかにしました。政府はアメリカなど4か国から少人数のツアー客を受け入れる「実証事業」を行っていて、これらの結果を踏まえて判断したということです。
この判断を受けて沖縄県の玉城知事は…

玉城知事
「国の方針と沖縄県の方針を組み合わせつつそして、感染症の防止対策もしっかりと重ねながらそういう方向性に動かしていけるのではないかというような期待感と一体となれるように取り組んでいきたいと思います」
玉城知事は県の対応について国の方針に合わせていく考えを示しました。

行政の新たな方針に対して、沖縄観光を推進する沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は再開に向けての議論を求める一方で観光が回復するきっかけとして期待も寄せます。
下地芳郎会長
「2年間外国からの観光客はいなかったので、2018年度に300万人が来ていて180万人は飛行機を使ってきていた0からの復活なので、航空機を利用してくる観光客に1日も長く滞在してもらい、多く消費してもらうことが沖縄観光の回復のきっかけになる」
外国人観光客の減少で大きな影響を受けた事業者からは国際線の再開について喜びの声が聞かれました。

土産店従業員
「観光業としては人が増えるのは賑わうということなので、それだけ嬉しい事ではありますね」
切手・古銭の店店主
「中国人とか東南アジアの方は結構購買力があるから、品物を買ってくれる。特にコインとか切手に興味を持ってくれる人は多いから。僕のところは大歓迎」
一方で県民は、歓迎と不安の声が相まっています。

県民
「他国は開放していますし、経済を動かしながらやっていかないといけないかなと思うので、動いて欲しいと思います」
「ほとんどの国はマスクをしていないはずなので、日本に来たらどうなるかなという不安はありますね。しかるべき基準をちゃんと設けてほしいんですよね。政治の方が」
政府は検疫体制や防疫措置の実施状況などを勘案し、感染防止と社会経済活動のバランスをとりながら段階的な緩和を進めていきたいとしていて、那覇空港においても国際線の受け入れを前に検疫体制の構築が求められています。
基幹産業の観光を取り戻しながら、県民の健康をどう守るのか、経済活動を新型コロナ対策の両立に向け、「withコロナ」をどう実践していくかが求められています。