「冷凍の生のざびえるを提供したい」

また、東京をはじめとした首都圏や愛知、大阪、福岡、北海道、沖縄などにも販路を広げ、今や全国に知れ渡る銘菓です。ざびえるにはリピーターが多いこともこれからの可能性を感じさせます。

太田社長に新たな事業展開について伺いました。

(太田社長)「今は冷凍事業ができないかと考えています。冷凍技術は今、ものすごく進化しているし、冷凍した生のざびえるを買っていただき、自宅でオーブンで焼いて召し上がってもらうとリッチな気分になると思うんです。7月には研究室もできたし、その可能性を探る意味でも挑戦したいと考えています」

また、創意工夫を忘れてはいけないことを強調しました。

(太田清利社長)「工場見学に大勢の人が来てくれますが、焼きたてのざびえるを食べていただくとみんな喜んでいただいています。焼きたてと一日経ったざびえるの味わいは全然違うと言われるので、そこでヒントを頂きました。大分を代表するお菓子なので、コストの面もあるんですが、あまり考えずにせっかくいいものを作るなら美味しいものをつくりたいと思います。たとえば、お菓子作りに欠かせない乳製品など原材料にもっといいものを使えないか考えています。全国でざびえるを味わってくれる人の笑顔がある限り、これからも私たちは進化しないといけない」

一度は消えようとした幻の銘菓の復活劇は道半ばという太田社長の話を伺っていると、ざびえるをこの上なく愛してやまない気持ちがひしひしと伝わってきます。トップがざびえるを一途に愛し、苦難に対して目をそらさず、矜持を持ちながら寡黙に事をなす頑固な職人気質はこれからも間違いなく受け継がれていくと確信しました。