「ウイグル語を話してはいけない。そういう決まりがあるんだ」

ウイグル族の若者の中国語能力の向上も実感した。10年前に訪れた際は、若者であっても簡単な中国語しか通じなかった。しかし、今回の訪問ではタクシー運転手やお土産店の店員と、中国語でスムーズなコミュニケーションをすることができた。中国語が話せないと仕事に支障がでるため、幼稚園から中国語を学ぶそうだ。

2023年撮影 カシュガル サッカーを楽しむウイグル族の子供たち

小学校を訪れると教室からは生徒が中国語の文章を読み上げる声が聞こえた。校庭でサッカーを楽しむウイグル族の小学生に話を聞くと「学校では先生も生徒もウイグル語を話してはいけない。そういう決まりがあるんだ」と話した。口をつぐむ大人たちに反して、子どもはあっけらかんとウイグル族の置かれた状況を教えてくれた。

2023年撮影 カシュガル 小学校には「中華民族の偉大な復興の中国の夢を実現するために頑張って勉強しよう」のスローガン

また、私たちはウイグル族を強制収容し、中国語教育や共産党思想教育などを強いていると国連などから指摘された「再教育施設」とされる場所を10箇所以上訪れた。有刺鉄線や高い塀など異様な特徴をもつ建物を見ることができた。

2023年撮影 ホータン 再教育施設とみられる建物

近所の住人は「以前はそうだったが、既に施設は無くなった」とだけ話した。以前施設に両親が収容されていたと話すウイグル族の男性とも出会った。「2年近く両親が収容され中国語を学ばされた」と打ち明けてくれたが、それ以上多くを語らなかった。