「上の人はモスクを開けさせたくないのよ」 新疆の裏側にある“違和感”

しかし、数日間街を歩き、つぶさに観察すると10年前と違う点に気が付いた。

一つは女性の服装だ。

10年前に撮影した写真を見返すと、ほとんどのウイグル族女性イスラム教徒が習慣的に着けるヒジャブと呼ばれるスカーフで頭を覆っているのに対し、現在では年配の一部の女性を除いてほとんどつけていなかった。

2013年撮影 ウルムチ ヒジャブ姿のウイグル族女性

モスクにも変化が見られた。

10年前はどこの街角でもモスクを見ることができ、礼拝をするイスラム教徒の姿が印象に残っていた。しかし、今回カシュガルでは街の中心部にある観光地化した大きなモスク以外、小さなモスクはほぼ閉鎖されていた。

2023年撮影 カシュガル 数年前に閉鎖されたというモスク

ある高齢のウイグル族の女性は小さな声で「上の人はモスクを開けさせたくないのよ」と話し、私たちに向かって人差し指を口の前に立て「シー」というジェスチャーをした。彼女が立ち去る姿に、ウイグルの人たちが置かれた状況を想像せざるをえなかった。

2023年撮影 カシュガル 壊されたモスク

閉鎖されたモスクの隣に住む男性と話をした。はじめは「知らない」と言葉少なだったが、打ち解けてくるにつれ、思い切って何かを話してくれそうな様子を見せ始めた。