人気店に成長、一方で社会的課題にも直面

ふれあいステーションは、生産者の力を引き出すことで、大きくなりました。その一方で、心配なこともあります。農業をめぐる社会的な問題です。

柳社長
「農業の今の現状を見ると、若い世代の就農率っていうのが低いように思うので、いずれ、後継者っていう、農業の後継者については、影響が出てくるんじゃないかと思いますね」

農家の減少、高齢化進む山口県

農業従事者の高齢化による「離農」。2020年時点の山口県内で農業に従事する人の平均年齢は72.3歳。全国平均である67.8歳を大きく上回っています。農業に従事する人は2015年の7割にまで減りました。

農業支える若い力に期待

ふれあいステーションの契約農家で、山口市秋穂二島の周防大橋のふもとで野菜を生産する藤村農園。社員は5人で、うち3人は20代です。

藤村農園 藤村敬子さん(79)
「もうすごく助かりますよ。私らみたいな年齢の高い者にはできないことでも、若い人はどんどんと率先してやってくださいますので」

年齢を重ねるにつれ、出荷時に軽トラックを運転するのが怖くなってきました。今、その役目は23歳の大木蛍さんが担当しています。力仕事も多い農業には、若者の力は不可欠です。

藤村農園・大木蛍さん(23)
「周りを見たらほんとに高齢の方が多いです。でも逆に農業ってほんとに魅力があって。自分で一から生産するものなので、すごい魅力的なものだと自分は思っているので、どんどん若い人に入ってきてほしいですね」

若者が農業に就くようになるには、何が必要なのでしょうか。ふれあいステーションの成功に、その答えがあるのかもしれません。

自分で決めた価格で売り、収入安定の仕組みを

柳社長
「若い方が農業に就くには、作ったものがきちんと売れなくちゃいけないっていうシステムがないと増えない。直売所って、自分の決めた価格で販売できたり、収入も安定する1つの条件になり得ると思っています」

柳社長は、今後の可能性についても話してくれました。ネットなど、販路を拡大してさらに業績を伸ばすこと。商品を農家が持ち込むのではなく、ステーションが回収する仕組みを作ること。まだアイデアの段階ですが、実現すれば、若者に魅力的で、農家の負担を軽くできる「離農」を防ぐ解決の糸口になりそうです。

「農業にやりがいを」。台道の、そして山口県の農業の課題を解決したいという思いから創られた直売所。直売所のこれまで、そしてこれからのあり方に農業の課題解決へのヒントが隠れているのかもしれません。