体力的・精神的にきつい、離職率も高い…そんなイメージを持たれがちの介護業界で、大分市にある福祉施設がIT化を進めた結果、職員の負担を軽減し、離職率も大幅に改善させました。全国でも注目されているという取り組みとは――。
大分市上田町にある介護施設「Greenガーデン南大分」。現在29人が入所している特別養護老人ホームです。施設では8年前の開所当時から「抱え上げない介護」、ノーリフティングケアを導入しています。このうち利用者を車いすからベッドへ移動する介護ロボットは、抱き上げる必要がないので女性1人でも安全に介助することができます。
(田崎真一施設長)
「立ち上げ当初から少数精鋭っていう形で福祉機器をしっかり使いながら体に負担も少なくて職員の負担も少ないケアっていうので質を高めていく取り組みをずっとしています」
(女性職員)
「ノーリフトではなく抱え上げだったら、すごく自分の負担もあるのかなと思います」

身体的な負担を軽減するノーリフティングケアの導入は介護職員の安定した雇用にもつながりました。
(田崎真一施設長)
「施設の離職率はかなり低下して、去年1年間の離職率は3.8%で推移したので、全国平均が14%程度って言われてますのでかなり低くできてるんじゃないかなと思ってます」
さらに「労働生産性の向上」と「質の高い介護」の実現に向け、施設では2年前から業務のDX化を推し進めています。全職員がハンズフリーで通話できるインカムを装着。情報を迅速に伝えて作業の効率化を図ります。
また、ベッドで休んでいる利用者の状況を把握するため、生体センサーを導入。各ベッドの下にセンサーを配置していて、心拍や呼吸、睡眠の深さなども確認することができます。データの信頼度も高くこのシステムを導入して夜間の巡視を廃止しました。
(田崎真一施設長)
「異常を感知した時には赤い表示に変わって、(職員の)インカムにアラートが届くので、今は職員も安心してこの画像をもとに夜間の業務にあたれてるのではないかなと思います」

また、施設ではロボット開発などを行う企業「RITECS(ライテックス)」や東京大学と連携してAI技術を用いた生体センサーの改良にも着手しています。
(RITECS・岡本浩幸社長)
「将来的には現場の知識とその学習知識を融合させて、そのシステム自体が進化するような形のものを作っていきたい。全国的にも価値があり先進的なプロジェクトになっている」
(田崎真一施設長)
「介護の世界は旧体制の中で行われ、先進的なことをすることに対してなかなか取り組めない施設や法人もいると思うので、うちはそこを先駆けてトップランナーじゃないですけども走っていきたい」
施設が目指すのは「近未来型介護」。DX化で介護職場を変えようと大分からチャレンジを続けていきます。
