1億円を元に借金で公共事業

しかし、各自治体が頭をひねった中、最も多かった使い道は、もしかしたら「1億円を頭金の一部にして市債などを起こし、公共工事を手がけた」というようなものだったかも知れません。公共工事とは多目的ホールや美術館のようなもの、あるいは温泉施設だったりしました。
要するに1億円をとっかかりにして、借金をしたのです。そして、その直後にバブルは崩壊しました。

地方自治体が抱えた借金返済額はバブルが崩壊した93年からグッと伸びています。

あれから30年以上。
ふるさと創生1億円は、市町村の財政を悪化させたという側面がありました。市債の支払いや、新たに作った公共施設の維持管理費が重くのしかかったのです。

借金と維持管理費が?

一方、当時「なんだそれ」と思われたものは、その後も特に借金の呼び水になったりせず、案外、市民に親しまれたりしています。
「日本一の獅子頭」を作った茨城県石岡市では、市民自転車イベントの折り返し地点などになったり、観光資源となっているそうです。

獅子頭の高さは約14m、中には人が登れます。Photo: Yosuke SUGA

キーワードは「借金」と「維持管理費」。
100億円以上の多目的ホールや競技場などを作り、今も財政の重い負担になっているところは案外多いのです。

また安全のための維持管理費が思いのほかかかるものもあり、たとえば「日本一のすべり台」などは、あまりの管理コストの高さに、すでに撤去されてしまったものもあります(兵庫県佐用町)。

さらに言うと、1億円の金塊のように「しまった、今でも持っていれば5倍以上の値がついていた」などということもあるそうです。

1億円の使い道もいろいろでしたが、その後もいろいろでした。