岩手県は増水によりたびたび住宅などへの浸水被害が発生している久慈川の支流・沢川(さわかわ)に整備している強制排水ポンプゲートについて、30日からの暫定運用を前に29日、試運転を公開しました。

 久慈市内を流れる沢川に設置された強制排水ポンプゲートの試運転には県の担当者や地域住民などおよそ20人が参加しました。
 沢川周辺では過去の台風や大雨による増水で何度も住宅などへの浸水の被害が発生しています。2019年の台風19号では沢川が流れる久慈市新中の橋地区で床上浸水16戸、床下浸水14戸の被害がありました。
 こうした被害を受け県は2021年度から総事業費およそ6億円をかけて、川の水を取り込んだり排水したりする樋門(ひもん)に強制排水ポンプゲートを設置する改修工事に取り組んでいました。
 今年度内の完成予定ですがゲートと2台のポンプの設置が完了したため、30日から仮設の発電機を使用して出水時に1台を稼働させる暫定運用を始めます。
 ポンプの大きさは直径70センチで1台につき毎分48立方メートルの排水が可能となります。
 2台フル稼働した場合は25メートルプール1杯分にあたるおよそ300立方メートルを3分ほどで排水することができるようになります。

(県北広域振興局河川港湾課 本間崇志課長)
「住民のみなさんからの要望も非常に強かったので、県では施工業者の協力を得て暫定運用ができた。引き続き本格運用に向けて頑張っていきたい」
(住民)
「水害が少なくなると期待しています。試運転を見てほっとする部分もあったので早く本格運用してもらいたい」

 県は今後、強制排水ポンプゲートの電気設備などを整備し、本格的な運用の開始を目指します。