◆一極集中、男女格差、機会不均等…世襲の弊害
繰り返しになりますが、現実がそうだということで、世襲議員が悪いというつもりはありません。ただ、結果として弊害は生まれています。
一つは、彼らの多くが選挙区で育っていないということです。特に父親が国会議員である場合、選挙区が地方でも育ったのは東京、というケースが多く、特に首相に限れば、小選挙区導入以降の世襲の首相9人中7人が選挙区ではない東京の高校を卒業しています。
以前は全く逆で、田中角栄氏から昭和の最後の首相だった竹下登氏までは全員が地方出身者でした。ただでさえ、定数是正で首都圏選出の議員が増える中、二重に議員の一極集中が進んでいるとも言えます。
また、日本的な家制度の中で、後継者はどうしても男子から選ばれやすく、女性議員が増えにくい理由の一つとも言われます。
そうして私が一番大きいと考えるのは、機会の不均等です。先ほど言った「格差の固定」ともつながるんですが、熱意や能力より、家柄が首相や閣僚など国家中枢への近道だとなると、社会のダイナミズムは失われて若者は希望を持ちにくくなり、ひいては国の衰退につながりかねないと、もしかしたら既にそうなりつつあるのではないかと心配しています。














