◆絶望する前に投票へ



でも、そうしないための手はあります。一つは政治の力です。先ほど言った「政治資金の相続」に法的な規制をかけるとか、政党が自ら、親族が同じ選挙区で立候補することを禁じるとか、仕組みを改めることです。

実際、日本でも政権交代選挙となった2009年の総選挙で、旧民主党は3親等以内の親族が同じ選挙区を引き継いで立候補することを認めない、と党のルールに明記し、これに対抗して自民党も同じく「次の総選挙から公認、推薦しない」と公約しました。政権復帰とともに反故にされましたが、ぜひもう一度考えてほしいものです。

そして私たち有権者ができることは、投票率を高めることです。投票率が低ければ、結果的に後援会などの固定票を持つ候補が強くなり、世襲に有利に働きますが、投票率が高くなれば、浮動票も獲得できる候補でなければ当選できず、今よりもっと人物・政策本位の選挙になるはずです。

日本は残念ながら世界194の国と地域の中で国政選挙の投票率が139位と低く、先進国の中では最下位レベルです。次の総選挙は、早ければこの秋とも言われています。「どうせ何も変わらない」と絶望する前に、投票に行きましょう。

◎潟永秀一郎(がたなが・しゅういちろう)
1961年生まれ。85年に毎日新聞入社。北九州や福岡など福岡県内での記者経験が長く、生活報道部(東京)、長崎支局長などを経てサンデー毎日編集長。取材は事件や災害から、暮らし、芸能など幅広く、テレビ出演多数。毎日新聞の公式キャラクター「なるほドリ」の命名者。