B2リーグ熊本ヴォルターズの遠山向人ヘッドコーチがRKKの取材に応じてくれました。遠山氏は22-23シーズンからヘッドコーチに就任。主力選手にけが人が相次ぐ中、チームをプレーオフへと導きました。残念ながらB1に届かなかった今季の分析、そして昇格へ向けた来季への意気込みを聞きました。

--シーズンを終えて改めて、どんなシーズンでした?

選手たちが本当によく頑張ってくれて、そしてブースター・ファンの皆さんが一生懸命応援、後押ししてくださって、本当に素敵な美しいシーズンだったと思います。

その一方でやはりB1に昇格できなかったというのは、本当に悔しいですし、チャンスもあったと思います。私もチームも「自分たちだったらできる」というふうに信じていましたし、その中で負けてしまったことは本当に悔しいです。ただ全てがネガティブなことではなく、今年の土台が今後のB1昇格に向けて繋がるということはチームも私もみんな手応えを感じているシーズンでした。

--どんなところがB1の土台になりそうですか?

プロとして自分たちはどのように日々取り組まないといけないのか、どういう準備で試合に臨むべきか、自分たちができるベストを尽くすということはどういうことなのか。ということをチームが学べた1年だったと思います。そういう土台がないと、いくらタレントレベルがすごく高くても結局大切な試合に勝てなかったり、難しいシチュエーションにシーズン中に追い込まれたり、そういうことが多くなってしまうと思います。

僕らも今回は一番最後のプレーオフで負けてしまいましたけれど、チームには非常に良いカルチャーができたと思っています。

--印象に残っている試合などあれば教えてください。

基本的にほぼ全部の試合を覚えていますが、シーズン通じて象徴的だったのは2022年10月26日にホームでライジングゼファー福岡と試合をした時に、外国籍選手がテレンス・ウッドベリー1人しかいない中、福岡に勝利した試合です。(熊本87-79福岡)

すごく良い試合で、その時は本当にファンの皆さんにも喜んでいただいて、すごいミラクルが起きたっていう感じでした。しかし、そこからずっと怪我人がいつも出て、外国籍選手が1人・2人でも勝つのが当たり前みたいになっていった。これはすごく奇跡なんです。そういうミラクルのスタートがこの試合だったのかなということで、非常に印象に残っています。

--一方でB1には届かなかった。何が足りなかったのでしょう。

前提として、ネガティブなことを言いたくないというのがあり、批判を外に目を向けてもたぶん良いことはないと思うので難しいですが、強いて言うならば、チーム全員がシーズンを通じてほぼ健康で、戦術面を含めたチームケミストリーを1シーズン通じてもっと構築して、フレッシュな状態でプレーオフに行けたら違ったかと感じます。

21-22シーズンのコアなメンバーがほとんど抜けて、本村亮輔選手、磯野寛晃選手、ベンジャミン・ローソン選手の3人以外は新加入の選手という状態からチームがスタートしました。特定の選手に限らず、チーム全員が「自分がチームのために何ができるか。チームのステップアップのために自分がどういうふうに力になれるか」ということを全員が考えてくれたシーズンだったので、おのずとチーム力もアップしますし、個人としてのレベルもアップしますよね。相乗効果というか、そういう部分でみんながステップアップしてくれたシーズンでもあったと思います。

--今季チームを率いた立場で来季ヴォルターズがB1昇格するために必要なことはどんなことでしょう。

まずは正しいことを継続することだと思います。ヴォルターズに、いきなりレブロン・ジェームズが出てくるわけでもないですし、自分たちはチーム力でしっかりとしたチームカルチャーとお互いをプッシュして勝ち星を重ねてきたチームなので、正しいことをしっかりと継続することが大切だと思っています。

来シーズンは、今シーズンのチームカルチャーの土台にしっかりと上積みをしていって、一戦一戦そのプロセスを大切にして、B2で最も強いチームを目指せるようにしていきたいと思っています。

熊本のブースターは本当にスペシャルな存在、特別なブースターなので、ふさわしい舞台に早く連れていけるように、また来シーズンも一緒に戦っていってほしいです。