◆1人あたりの頭数制限で“保護”はもう限界に来ている


佐賀県有田町の木々に囲まれた場所にNPOアニマルライブの本拠地がある。ここで保護された計167匹の犬と猫が“余生”を暮らしている。悪臭が漂う家にいた白い犬たちも、一旦はここに引き取られた。多くはその後、全国のボランティア団体に渡ったが、高齢のものは譲渡会に出してもなかなか引き取り先が見つからない。どうしても子犬や小型犬を飼いたがる人が多いからだ。アニマルライブはそんな高齢の動物たちも最期まで幸せに暮らせるように飼育し続けることにしている。ただ、2022年から段階的に適用されている改正動物愛護法によって、1人のスタッフが扱える頭数は厳しく制限され始めた。


岩崎さん「“保護”はどこでも限界にきている。飼った以上は命をもっと真剣に考えてもらいたい。最後の最後まで飼ってほしい。最低限、避妊・去勢手術はしてほしい」

ペットとの共生は、動物の生命を尊重しないことには成り立たない。ペットは、人間を一方的に癒やしてくれる便利な存在ではない。岩崎さんは「寂しさゆえに飼わないでほしい」と力を込める。増え続ける猫、腹水がたまった犬、カメラを見つめて声を絞り出した84匹の犬。ペットが置かれた不幸な現実に向き合えなくなるところに飼育崩壊の悲哀がある。