「きょうは“声かけ”はないのか」
6月15日の夕方、岸田総理は総理秘書官に対してこのように声をかけた。
「声かけ」というのは官邸を出る際などに記者団から飛ぶ質問のこと。珍しい質問に、「総理は自ら記者団に情報発信したいのではないか」と感じた秘書官は、報道各社に意向を確認した。
それから数十分後・・・総理官邸を出る岸田総理に対し、記者から質問が飛んだ。
“異例”の行動~総理自ら情報発信

記者「今国会で解散はしないということでよろしかったでしょうか?」
岸田総理「解散については考え…、今は、今国会での解散は考えておりません」
今の国会での解散の可能性が消滅した瞬間だった。総理周辺は総理の行動について、「解散をめぐる報道が過熱する中で、総理は自民党などに対し、自分の真意を説明したかったのではないか」とみている。
なぜ早期解散論が浮上し、消えたのか
“岸田総理は今国会で解散総選挙に踏み切るのではないか?”
こんな観測が本格的に流れ出したのは3月のウクライナ電撃訪問以降だ。
4月の衆参補欠選挙を4勝1敗で乗り切り、5月のG7広島サミットではウクライナのゼレンスキー大統領を招いて大きな注目を浴びた。複数の政府関係者によると、岸田総理はこうしたイベントの成果について大きな自信を持っていたという。

実際、内閣支持率は上がり続け、広島サミット後の6月のJNN世論調査では内閣支持率は46・7%と、過去最低だった34・2%(2022年12月調査)から12・5ポイント上昇した。
また、4月の統一地方選挙で日本維新の会が躍進。その勢いを見て、政府与党内からは「維新が選挙準備が整わないうちに選挙を行ったほうが有利になるのではないか」との声も出始めた。岸田総理も一時は周辺に対し、「すでに解散のタイミングは決めている」との考えをほのめかすようになった。
しかし、その後風向きが変わる。