■ゲームが作られた目的は「街のインフラを自分たちの手で良くしていくこと」

マンホールの写真を撮って投稿するゲーム。いったい何の目的で作られたのか。「鉄コン」を展開する財団、Whole Earth Foundationの鈴木麻弓さんに話を聞いた。

Whole Earth Foundation 鈴木麻弓さん
「今後、インフラがどんどん老朽化していき、人口も減っていく中で、“自分たちの街のインフラを自分たちの手で良くしていく”ということを達成するためのツールが「鉄コン」というゲームなんです。

インフラって膨大な量があって、それぞれ管理して古くなったものを更新していくのは結構大変なんです。ただ、公共事業は競争が生じないので、例えば本当は必要ないのに水道管を掘り起こしたり、破裂するまで老朽化に気づかない、ということも起きています。でも非効率な工事をした場合、そのコストは実は市民が負担しているんですよ」

鈴木さんによると、インフラは本来もっとよくなるものなのに、現状維持になってしまっているのは、【公共事業なので競争がない】ということと、【市民がインフラに関心を持っていない】ということが理由だという。

インフラの老朽化は全体として問題になっているが、マンホールはそれが顕著で、マンホールの業界団体、日本グラウンドマンホール工業会によるとマンホールの標準耐用年数は車道で15年、それ以外は30年が目安だが、国内の約20%にあたる約300万基が30年以上経過していると推測されている。

問題のあるマンホール
古くなったマンホールの更新がまったく追いついていないわけだが、そもそも、一つ一つのマンホールの状態を把握するだけでも労力がかかる。そこで、どのマンホールが老朽化しているのか、更新すべきなのか、というデータをゲームでプレイヤーに集めてもらっちゃおう、ということなのだ。

■関心ない物に関心を持ってもらうには「ゲーム要素」が重要

では、ゲーム会社ではない財団がなぜゲームを作ることになったのだろうか。

鈴木さん
「Whole Earth Foundationは“市民の手でインフラマネジメント(インフラの管理)をやっていこう”というコンセプトで設立された財団なんですが、一般市民に、もともと興味がないもの、例えばマンホールに興味を持ってもらうために必要な事を考えたときに、必要なのは“ゲーム要素”だと思ったんです」

確かに、私も元々マンホールに興味があったわけでもないのに、他の人が見つけていないマンホールを見つけることや、数を競うというゲーム要素によって、自然とデータ集めに参加していた。やらなくてはいけないわけでもないのに、自然とやりたくなる。ゲームって不思議だ。

実際に、鉄コンをプレイしている人たちからも「マンホールの写真を投稿し、ゲーム画面上の地図に新しいマンホールの絵がポツポツと出現するたびに、自分が見つけたマンホールが地図に載った!という喜びが感じられ、どんどん探したくなる」という声が聞かれるのだという。

また、鈴木さんはこのゲームが社会貢献に意識のある層にとてもマッチしたと感じている、と話す。4月に行ったユーザーのイベントでも「社会的に意味のあることだから興味を持ちました」という声が多く聞かれ、小さい子どもがいるのに出勤前にマンホールの撮影をしている、という人までいたことに驚いたのだそうだ。

ユーザーのイベントではコアなファンから様々な意見が出された