国連によりますと、日本の食品の廃棄量は、世界で14番目に多いとされています。例えば、畑で採れる「規格外」の野菜も、売り物にならず廃棄せざるを得ないなど、農家も頭を抱えています。
この「食べられるのに捨てられる野菜」を何とかしたいと、規格外の野菜を使った取り組みが岡山市で行われています。
岡山市北区玉柏でニンジンを栽培している農家です。この春、秋山さんの約3ヘクタールの畑にできたニンジンは約10トン。しかし、収穫されたはずのニンジンが畑一面に転がっています

(農家 秋山佳範さん)
「出荷したとしても値段が全然つかない。すればするほど赤字になってくるのでもう捨てた方がいいなということで」

捨てられたニンジンは
・大きすぎる
・割れ目が入っている
・変形している
など、規格外で商品にならないものです。

こうした理由で例年、収穫量の約3割が「廃棄」または「畑の肥料」に。さらに今年は雨量が特に多く、皮が破れるなどしたため、捨てられるニンジンはなんと5割以上になるといいます。
(秋山佳範さん)
「残念ですね、残念。対策として来年以降どうするかは考えられない。僕自身も初めてのことなので」

大きさや傷を気にしなければ、十分食べられるニンジンです。
そんな中、「規格外という理由で食べられるのに廃棄される野菜を何とかしたい」と立ち上がった女性がいます。料理講師など25年以上、食の仕事に携わる花房左和子さんです。

(花房左和子さん)「本当になんとかしないと農家さん大変だし、畑を見るとほっとけない」
商品にならないニンジンを使って、花房さんは一昨年から「あるもの」をつくっています。

(花房左和子さん)「ポイントは、地球にも優しいけど人にも優しいというのが大切だなと思っているので」
作るのは、「自家製のドレッシング」です。規格外の玉ねぎも加え、地元の酒造会社がつくる「みりん」などでシンプルに味付けした、ニンジンたっぷりのドレッシングです。廃棄されるはずのニンジンが、形を変えて食卓に届けられます。

(杉澤眞優キャスター)「いただきます。あっさりしているんですが、ニンジンの甘みがしっかりとしていて、まさに食べるドレッシングといった感じがします」

ニンジンを栽培している秋山さんは、農家を持続可能な形にするためにも、こうした取り組みに期待しています。

(秋山佳範さん)
「今までだと捨てるだけだったりとか、近所に配って『食べてね』と渡すだけだったんですけど、加工してもらっていろんな商品化ができるというのは、ありがたいなと思いますね」

花房さんは、こうした規格外野菜で作るドレッシングなどを通じて、いま一度「廃棄される食」について考えてほしいと話しています。