自分の意思に反して突然、手足が動いたり、大きな声が出てしまう「トゥレット症」と闘いながら就職を目指す23歳の若者を追いました。
(前編・後編のうち後編)
「病気の説明から始めないといけない」

神奈川県に住む酒井隆成さん(23)。趣味はパソコンで画を描くこと。
酒井隆成さん
「なかなか体が動いちゃうので、いつも鎮めながら書ける時に書けるタイミングで書くようにしている」

食事中もトウレット症の症状が現れる。箸がうまく使えない。
酒井さん
「(箸が)折れちゃいましたね」
酒井さんは就職活動中だ。大学で学んだ「心理学」を活かすため、「医療」や「福祉」関連の企業を志望する。
酒井さん
「トゥレットという病気をみんなは知らないので、行政の機関に行って病気の説明から始めないといけないというスタートの仕方なんですよ」
向かったのはハローワーク。果たして仕事は見つかるのか…
酒井さん
「いい求人が見つからなかったです。残念」
ーー大分、疲れていますね
酒井さん
「そうですね。忙しくてなかなかね…。こたえますね」
トゥレット症の区分は「精神障害」 当事者からは「たらい回しにされちゃう」
酒井さんが持っているのは「精神障害者保健福祉手帳」。トゥレット症が発達障害などに分類されているためだ。

酒井さん
「発達障害は“精神手帳”をもらえるんだけど、精神障害かと言われるとさ、まだ身体(障害)の方がしっくり来るかなという部分もあるし、どこの区分に割り当ててもしっくりこないから。何となく(トゥレット症は)精神と身体の間ぐらいのところに存在しているが故に、どっちの仕事を探してもぴったり合う仕事が一切ない」
トゥレット症を「精神障害」に区分する行政の支援が、自分たちの生きやすさにつながっていないと感じている。

酒井さん
「精神(障害)で仕事を探すと、当たり前だけど静かに仕事ができる場所に通される。だからといって、身体(障害)の方で探すと、想定されない症状だから身体(障害)の職場からしても『結局うちではちょっとあわないから』とたらい回しにされちゃう」