沖縄県民お馴染みの、そして観光客お目当ての“そば”と言えば『沖縄そば』ですが、大宜味村では“和そば”が生産されているのはご存じでしょうか。県内唯一の和そばの産地、大宜味村では特産そばを使って地域おこしに取り組んでいます。
「のどごしが良くておいしいです」
「沖縄そばの名産地なので和そばは期待していなかったんですが、コシが強くて良いと思います」
香りや粘りが強くツルっとしたのどごしが特徴の『大宜味産和そば』。生産は意外なきっかけから始まりました。
大宜味村蕎麦生産組合 平良幸太郎会長「雨が降って赤土が流出するようになり、その対策のために成長の早い作物を植えるということで、ソバの種をまいたのがきっかけ」
2009年耕作放棄地の再生事業に力を入れていた大宜味村。当初は赤土流出を防ぐ『グリーンベルト』としてソバを作付けしましたが、意外に評判があり、今では村の特産品となっています。
しかし、当初は栽培に苦労したそうです。
大宜味村蕎麦生産組合 平良幸太郎会長「乾燥させるのに非常に四苦八苦して何トンもカビが発生してソバの実を廃棄したことがあります。当初は全部手作業で種まきから収穫もやっていたんですよ、これではソバを栽培して利益を得るには難しいということで」
いまでは種まきから収穫までのすべてを機械で実施!生産量も安定し、年間平均およそ3トンを収穫しています。
この大宜味産ソバを全て1人で栽培しているのが平良幸也さんです。
生産者 平良幸也さん「こちらが大宜味村のソバ畑になります。5月中旬に収穫が終わって、いま次の作付けまで赤土を流さないために休耕している状態ですね」
あたり一面にはソバの花が咲き誇り、白い絨毯が広がります。県内で唯一ソバの実を栽培する大宜味村ですが、ここならではの工夫はあるのでしょうか?
生産者 平良幸也さん「沖縄は梅雨が5月に来るので、その前に刈り取りをしないといけない」
県外で作られるソバとの大きな違いは“早刈り”!完熟したソバの実は雨に打たれると発芽してしまうことから沖縄では梅雨入りする前の未熟の段階で、刈り取りを行うそう。収穫されたソバの実は殻をむき、製粉作業が行われ出荷されています。
今が食べごろの、大宜味産和そば。特別にそばうち体験をしてみます。講師は道の駅おおぎみの黒田早苗さんです。
道の駅おおぎみ 黒田早苗さん「20%対80%の八割そばで調合しています」
まずは混ぜる!8対2で調合した粉に水を少しずつ加え、細かいそぼろ状になってきたら塊を作るように、手のひらでこねていきます。
今野リポーター「意外と手だけを使っているように見えますが、全身を使いますね。結構良い運動になりますね」
うまく丸まったら、生地をすばやく伸ばしカットした麺を1分間ゆでます。最後に氷水でしめると完成です!
打ちたての大宜味産和そば!ひと口目は素材そのままを味わうため何もつけずに。
今野リポーター「いただきます~。コシがあって噛めばかむほどそばの風味がガツンときておいしいです」
現在『大宜味村和そば』を県内で提供している飲食店は3店舗。中でも道の駅おおぎみにあるレストランやんばるシーサイドでは、天ぷらやじゅーしーとセットで堪能することができます。
平良幸太郎会長「道の駅とタイアップしながらそばうち体験や、道の駅のレストランでも提供してもらって、和そばをきっかけに地域活性化を目標にして頑張っています。大宜味村のそばでお客さんを呼べるような、栽培を続けていければと思っています」
大宜味村を訪ねると、赤土対策から人気の食材に成長した沖縄そばにも負けない「美味しい和そば」がありました。