「申請者に難民がほとんどいない」改正案の根拠にも疑問の声

Aさんが対面審査の回数を尋ねると柳瀬氏は「1年間に90人くらい100人までにいくかいかないか。直接に、お目にかかっている方がいます」と答えたという。
柳瀬氏が行ったという1231の審査件数について、参与員の経験者は…

難民審査参与員・弁護士 伊藤敬史さん
「やっぱりそれはとてもできないだろうと、自分からするとそれは不可能なんじゃないか。その数字が本当に正しいのかどうなのか、正直私は未だによくわからないです」
弁護士の伊藤氏は、2022年の1年間で担当した審査は17件だったという。参与員は「申請者に難民がほとんどいない」という柳瀬氏の発言にも疑問を投げかけた。
難民審査参与員・大学教授 鈴木江理子さん
「難民がいるかもしれない、見つけなければいけないという気持ちを持ち続けて参与員をやらなければ、(難民が)いないというふうになった時点で審査がおろそかになってしまう」
元難民審査参与員・弁護士 北村聡子さん
「1人たりとも取りこぼさないために、参与員制度が導入されている。1人でも取りこぼしてしまって、その人が送還されてしまったら、拷問されたり、場合によっては殺害されたりするリスクがある。それをしちゃならない使命感を負って職務に当たるわけです。非常に緊張感を持って本来ならば1件1件審査しなければならない。そう考えると(柳瀬氏の)あの件数というのは考えられない」

また、柳瀬氏は難民の支援をするAさんとの電話で「根本的にね、どこの国だって、日本にとって、その国にとって、都合のいい方だけ来てください。都合の悪い人は困ります。どこの国もしています。主権国家であれば」と発言したという。
難民審査参与員・大学教授 鈴木江理子さん
「移民の受け入れならば、国益という視点を持ってもいいと思います。でも移民じゃない。難民なんです。そこは国益ということをはさんではいけなくて」
私たちは、柳瀬氏が名誉会長を務める団体を通じ、質問状を送ったが回答はなかった。
参与員による書類審査では難民と認定されなかったものの、裁判を経て決定が覆ったケースがある。