「政財界の圧」…「出」だけでなく「入」も見るべき

法改正しても、何ら根本的な解決にはならないと見込む職員。では、日本の入管政策はどう舵を切ればよいのだろうか。現役職員は「外国人の移民政策とセットで考える必要がある」と自身の考えを次のように話してくれた。

(大阪入管の現役職員)
「ベトナムの難民の定住センターを作ったときから、今も刑務所出たり入ったりする方もいれば、ものすごく頑張ってる人、二極化してますよね。その後バブル期、たくさんの人を入れましたけど、バブルが終わったと同時に、企業はバンバン切っていって、もう厄介払いですよね」
「都合が悪くなれば、景気悪くなれば、その人たちから切られていくわけですよ。日本人、外国人に限らず、やっぱり弱い人が切られていくじゃないですか。日本人にはセーフティネットがあり、地縁血縁、どこかに頼るところがありますよね。外国の方は頼るところが少ないです。そしたら、犯罪に行く人だっていますよね。」
「(一方で、)今技能実習制度をやってますけど、月に5万とか6万の手当があるわけですよ。これを一生懸命やっている人もおれば、一緒に来た人が逃げて、すぐ隣の居酒屋で働けば、月30万もらえるわけですよ。だからギャンブルですよね、(逃げれば)捕まりますよ、(逃げなければ)捕まりませんよ。(でも)うまくやれば全然違う(収入の)額になるんですよ。うまくいく人もたくさんいますから、そっちに流れる人が多いのは仕方ないですよね」

技能実習制度は、日本での待遇の悪さがこれまでも問題視されている。待遇の悪さから犯罪に手を染めてしまう技能実習生も後を絶たないが、待遇の改善なく「正規の在留資格で生活しなさい」という政府。こうした状況を、職員はこう表現した。

「これは入管の政策ですけど、政財界の圧ですよね」