アンケートの9割「納得できない」 政府方針に逆行する政策の疑問

浦添市の佐藤愛さん。人見知りが激しかったという息子の誠くんが、毎日、楽しく通っていたという支援センターは、育児をする上で欠かせない大事な場所でした。

佐藤愛さん「支援拠点がなければ育児に対して、不安がすごく大きかったと思うし、こんなに育児を上手に出来ていたのかなと思う。産後うつに陥っていた可能性もあるし、色んな意味で救われたんですね。私だけじゃないと思います」

佐藤さんはセンターの廃止に納得できず、再開を願う母親たちの声をうけ、アンケートを実施することにしました。

利用者を対象にしたアンケートでは、22人中20人が廃止に「納得できない」という回答。中には「産後うつ」や「虐待につながらないか」といった、緊急を要する答えもありました。

佐藤愛さん「「本当に市が掲げる“点から面”への充実であれば、利用者はアンケートに対して喜びの声が上がっているはずなんですけど、ストレス度も上がっている、喜びの声ではなく不満やクレームばかりがあがっている」

この日、佐藤さんらは浦添市に『子育て支援拠点』の再開を要請しました。

佐藤愛さん「現在の利用者の方々にお気持ちを書いて頂いていますので、受け取りをお願いします。」

アンケートを確認した市側からは「1人1人の声を真摯に受け止め、個別にしっかりと対応していきたい、今後利用者の立場に立った支援の内容について協議したいと」回答がありました。

こうした支援拠点をめぐる動きについて、30年以上、拠点事業に携わってきた『支援センター連絡協議会』の石川キヨ子会長はこう話しています。

支援センター連絡協議会 石川キヨ子会長「支援センターに来る方って、緊急性を訴えるまでには長い信頼関係を築いてきたから相談できることもあるので、その『絆を要りません』て言われているようなもの。虐待だとか、孤立感で立ち止まってしまって、塞いでしまっている親子を見過ごしてしまうのではないかという、危険が伴うのではと思っています」

一方、県都の那覇市では、2024年度末までに子育て支援拠点を、2カ所増やす計画だとしています。厚生労働省もまた、現在は7856カ所の支援拠点事業を2024年度末までに、1万200カ所に増やしていく方針を示すなど、増加させることがあっても、支援拠点を減らす浦添市のこの事例は、全国的にも珍しいケースとなっています。

浦添市と利用者の声が、大きく食い違う子育てをめぐる環境。どこに向かい、だれのための子育て支援拠点なのか、浦添市には、母親たちの声に耳を傾けて、子育て支援の在り方を考えて欲しいと思います。