母親たちの育児の大きな助けとなる子育て支援拠点(子育て支援センター)。沖縄県浦添市には子育て支援拠点が2021年度には7カ所ありましたが、昨年度は4カ所、さらに今年度は1カ所のみに集約しました。その受け皿として4月から市内にある26カ所の「認定こども園」が役割を引き継ぐとしています。

7カ所の施設と26カ所の認定こども園を比較すると一見、受け皿が増えて、支援が充実したように見えますが、利用者からは不満の声があがっています。4月からどのように変わったのか、利用者たちの声、現在の状況を取材しました。

新たな政策により行き届かなくなった子育て支援  

子育て支援センターを利用していた母親「子育て支援を手厚くしているって言っているわりには、こうやって子育て支援の拠点を廃止するっていう決断は一市民としてがっかり、残念な気持ちはあります」
子育て支援センターを利用していた母親「利用していた“子育て支援センターほるとの家”は助けてほしい時に助けてくれた、開けてくれた人たちには本当に感謝していて、市には見捨てられて絶望だったのに、こんな優しい人もいるんだって」

浦添市の『ほるとの家』。市の補助が打ち切られた4月以降も『自主事業』として支援拠点を運営していて、就学前の子育て中の親子をサポートしています。

松本浦添市長(市議会での答弁)「皆さんの経験を生かして、これからは多くの近隣、こども園にシェアしていきたい。『点から面』に子育ての総合力をアップしていこうという趣旨でございます」

民間の支援拠点を廃止し、市直営の大型商業施設の中に設置する1カ所のみに集約する方針を打ち出した浦添市、代わりに26カ所の認定こども園を受け皿とする考えですが『子育て支援拠点』と『認定こども園』はそもそも、その役割は大きく異なります。

子育て支援拠点は親子交流、育児相談・援助、情報提供、育児関連の講習のすべてを担うことが義務付けられています。一方の認定こども園は、交流・相談・情報提供、一時預かり、保護者と団体の連絡などのいずれか1つ以上の機能を持てば良いとされています。

また開所の日数も異なります。子育て支援拠点は週に5日(1日5時間以上)となっていて、専任のスタッフが2人以上配置されます。しかし認定こども園では週に3日以上で時間は園次第。副園長など主幹保育教諭ら2人が兼務で担当するなど、2つの施設で大きな隔たりがあり、日々コンディションの違う乳幼児を抱える母親にとって、毎日通えるわけではない認定こども園は、利用しづらいという声も挙がっています。

さらに、4月から市内唯一となった大型商業施設の支援拠点は、スペースが限られていて利用できず、代わりに有料の施設を案内されたケースもあるといい、市の補助が打ち切られた3か所の民間の支援拠点は利用者からの要望を受け、現在も時間を短縮するなどしながら『自主事業』として支援拠点を継続しています。

ほるとの家 平安常治理事長「利用者が泣きながら『4月からどうしよう、行き場所がなくなる』とお話をしている姿を見て、急きょ月曜日から金曜日の午前中は開けますって話して」

長年、支援拠点を開いてきた事業者は、地域の支援拠点が無くなることを、危惧しています。

ほるとの家 平安常治理事長「地域の方たちがこの拠点に集って、横のつながりが出来る、その中で悩みを共有したり先輩のお母さんのアドバイスを頂いたり、一種のコミュニティのようなものが確立されていたので、本当に困っている人って新しい所に足を運びにくい。行き場がなくなる方が出てきてしまうのが1番気になるところですね」