水田に土砂を搬入された川原 房江さん:
「“田んぼ”っていうのは“家”と一緒ですよね、私たち、農家にしてみれば。
そこで米を作って、その米をいただいて生活していくんだから」

先祖代々、100年以上にわたって米を作りを続けてきた川原さん。
今年は『米作り』を断念せざるを得ませんでした。
受け継いできた生活の糧が奪われていく現実を目の当たりにしています。

川原さん:「耕作はするな。もう出て行け、出て行けですからね」

こうした県側の対応について、住民を支援する市民団体は今月6日、“覚書”の趣旨を守り、まずは住民と話し合うよう 県に申し入れました。

市民団体(石木川まもり隊)松本 美智恵代表:
「住民と協議の上、書面による同意を受けたのち着手するものとする──これが“覚書”なんですよね。つまり約束が守られないまま、工事が始まっているという状況なんです」

昔から変らない “ホタル舞う” 石木川の風景

5月下旬。石木川にホタルの季節がやってきました。

女性達の声:
「あっ見えた!」「あそこ、ほらほら」「上の方に見えた」「上も下もおるよ」

川原地区にダム計画が持ち上がってから50年以上。
数千匹のホタルが舞うこの光景は、今も昔も変わらないといいます。

岩下 すみ子さん:
「私たちは “この自然を守りたい”という一心で、ここに住んでますのでね。
何とかダムが “中止”になればと思って」

土地の強制収用を可能にした事業認定から、まもなく10年──
“覚書”が求めている“住民の理解”は得られないまま、現地では本格的な工事に向けた動きが続いています。