牛肉の消費量は6倍に増加 一方で殺処分される牛も

私たちが普段口にする食材のひとつ、「牛の肉」。
1人あたりの年間消費量は、1960年には約1キロでしたが、2021年には6.2キロと約6倍に増加。(出典:農林水産省・令和3年度食料需給表)
牛肉の需要が高まる一方で、生まれてすぐに殺処分され、食肉として流通しない牛がいます。一体なぜなのか?牛が殺処分される現状と向き合い「牛の幸せを考え続ける牧場」を取材しました。
「オスの牛は産まれた瞬間殺処分」必要とされない牛たち

大分県・別府市の山中にある牧場「宝牧舎」。ここでは低い価格で取引されたり、殺処分になってしまう「廃用母牛」と「ジャージー牛のオス」を引き取って育てています。
宝牧舎・山地竜馬代表
「廃用母牛は一言で言うと中古車。妊娠がしにくくなったり、高齢になったりして低い価格で取引される母牛のこと。店に並ぶ国産の安いミンチ肉は廃用母牛だったりします」

高齢の母牛は、妊娠がしにくくなる上、肉質が変化し価値が下がります。
また、肉用牛も年々品種改良がされていて、酪農家は新しい品種の牛に更新するために高齢で古い品種の母牛を安く売るといいます。

そして、生まれてすぐに殺処分されるのが「ジャージー牛のオス」です。
宝牧舎・山地竜馬代表
「酪農家はお母さん牛からミルクを絞って、それを販売することで利益が得られます。しかし、オスはミルクを出せないので生まれた瞬間に殺処分した方が農家にとって負担が少なく済みます」
加えて、ジャージー牛は乳用牛であるため、肉付きが悪く、肉用としての価値がありません。