◆国内で価値観の対立「社会的承認は得られていない」


そのほかの憲法条項についての福岡地裁の判断も振り返る。最初に登場したのは、憲法24条1項(婚姻の自由)だった。かいつまむと、憲法制定時に同性婚は“想定外”で、各法律の規定は「異性間の婚姻を指す」。社会の価値観は変遷し、同性婚が婚姻に含まれる余地があり諸外国では法的保護の動きもあるが「世論調査の結果等によれば、同性婚に対する価値観の対立が存在し、異性婚と変わらない社会的承認が得られているとまでは認めがたい」と回答した。


◆看過しがたい不利益だけど・・・


続いて、憲法13条(幸福追求権)についての判断だ。ここでは、婚姻によって得られる経済的なメリットが列挙された。「医療における家族への説明や同意権、不動産購入、賃貸借又は保険等 の各種契約の審査における家族状況の確認、家族を共同名義人や保険等の便益の受取人に指定できること、職場の異動等における家族の状況への配慮、同じ墓の利用の可否等の冠婚葬祭への参加」。そしてこの“効果“を同性カップルが受けられないことは「看過しがたい不利益」とした。その上で、再び「しかしながら・・・」と続く。「婚姻自体が国家によって一定の関係に権利義務を発生させる制度であることから、同性愛者の婚姻の自由や婚姻による家族の形成という人格的自律権が憲法上の権利とまで解することはできない」。


◆“婚姻は男女のもの”社会通念は現在も失われていない


次は憲法14条(法の下の平等)に対する裁判所の回答。「原告らは婚姻制度を利用できずこれらを享受する機会を得られないことで重大な不利益を被っている」と説明した上で、再び「しかしながら・・・」とつなぎ、「婚姻制度の目的は、国が一対の男女(夫婦)の間の生殖とその子の養育を保護することにあった。婚姻は男女によるものであるという当時の社会通念もまた変遷しつつあるものの、現在においてもなお失われているということはできない」そして、各法律の規定は合理的な根拠があり憲法違反ではないと結論づけた。