ダイヤモンドリーグで活躍する数少ない日本選手
世界陸上ブダペストの参加標準記録の適用期間は、昨年の世界陸上オレゴン大会終了後に始まったため、多くの有力選手がまだ代表を決められていない。それに対して三浦は、昨年8月に8分13秒06、9月に8分12秒65と二度も突破していた。
昨年8月の記録はダイヤモンドリーグ・ローザンヌ大会で4位だったとき、9月がダイヤモンドリーグ・チューリッヒ大会で4位になったときのタイムである。昨秋の2レースの注目度は低かったが、これはすごいことである。
特にチューリッヒ大会は最終戦で、そのシーズンのダイヤモンドリーグのポイントで、上位に入った8人しか出場できない(ペースメーカー2人が加わり10人)。そのメンバーで4位に入ったことの評価は、五輪7位に勝るとも劣らない。オレゴンでは惜しくも予選落ちに終わったが、三浦は昨年の実績で完全に世界の仲間入りを果たしていた。
今季も日本選手権後にダイヤモンドリーグ・パリ大会(6月9日)に遠征し、自己記録7分58秒68のラメチャ・ギルマ(22、エチオピア)ら、世界のトップ選手たちに挑む。
「そこでファイナルに向けてポイントも獲得したいです」
もちろん、今季の最大目標は世界陸上で入賞することに置いている。
「パリ大会は世界陸上のリハーサル的なことにもなると思うので、(世界トップ選手との戦いの)手応えを確認して、帰国して、世界陸上に向けて最終調整していきたいと思います。オレゴンでは予選のラスト、自分が攻めなければいけなかった部分で行けなかった。そこが決勝を逃した要因の1つなので、自分の走りに対して自信を持って臨めるようにしたい」
国内の大会で好成績を挙げ、国内でじっくり調整して五輪や世界陸上で好成績を残すパターンもある。一方で00年代に400m障害で2個の銅メダルを獲得した為末大のように、海外を転戦しながら世界陸上に臨んだ選手もいた。
学生の三浦は長期的な海外転戦ができないこともあり、両者の中間的なパターンで2度目の世界陸上に挑戦する。1試合1試合、自身の走りを細かく確認しながらブダペストに向かって行く。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)