世界で活躍する三浦龍司(21、順大)の走りが注目された。陸上競技の第107回日本選手権が6月1~4日、大阪市ヤンマースタジアム長居で行われた。大会2日目の男子3000m障害は三浦が8分21秒41で3連勝。大会前に参加標準記録(8分15秒00)を破っていたため、昨年のオレゴン大会に続き世界陸上代表を決めた。あいにくの雨の中でのレースとなり、障害に足をかけて跳ぶ3000m障害はその影響を受ける。三浦はタイムよりも、走りの内容に進歩を感じていた。

3年間国内不敗だが

三浦龍司が日本選手権3連勝を達成した。三浦は日本選手権だけでなく、大学に入学した20年以降、3000m障害では日本選手間不敗を続けている。こう書くと勝負優先のレースをして勝ってきた、と思われるかもしれないが、三浦は国内で勝ち続けることを強く意識してきたわけではない。

「(日本選手権の)連覇に関してあまりこだわりはなかったですけど、結果的に積み重ねられたことは嬉しいです。まずは勝ちきるところができたのは、収穫だったと思います」

東京五輪で7位に入賞し、その予選で8分一桁(8分09秒92)台の日本記録を出した。三浦が見ているのは、いかに世界で戦うか。そのためのテーマに取り組む中で、国内の勝利を継続できている。

今季はここまで、3000m障害出場は8分19秒07で優勝したゴールデングランプリ(GGP、5月21日)と日本選手権だけ。他の大会では1500m、3000m、5000mに出場しているが、3000m障害をより高いレベルに押し上げるためである。

日本選手権で三浦が試したのは、おもに1000m以降の走りだった。3000m障害初戦だったGGPより、どのくらい手応えを得られるかをチェックした。

三浦が振り返る前半、中盤、ラストの走り

1000m通過は2分46秒6で、GGPより1秒ちょっと速かった。

「(GGP後)障害を使って練習する回数は増やしました。地面からの反発などを、もらいやすい走りになってきた。簡単に言えばバネを感じるような走りになったかな、と思います。全体的に足かけ(障害に足を乗せる)ところの感覚はGGPのときよりはあったかな、と思います」

三浦自身が特に手応えを感じていたのは1000m以降である。

「気持ちペースを上げていくつもりでの走りでした。それが結果的にイーブンになったのか、少し落ちたのか、実際のタイムはわからないですけど、中盤の粘りというところがGGPとはちょっと違ったかな、と思います。自分の力でぐいっと推進力を上げて走れたかな。今までは前半は1000mまでと、後半はラスト2周だけだったキャパが、前半は2000mまで広がったかな、と思っています」

ただ、ラストに関してはそこまでよくなかったようだ。

「ラスト1周で(障害に脚を乗せずに跳び越える)ハードリングに変えてから、少しつまずくというか、余裕がなくなっていました。まだまだ改善が必要かなと思います。最後の水濠でGGPと同じように(着地後にバランスを崩し)やってしまいました。ラストに近づくにつれて水濠の足かけが、合いにくくなっていました」

GGPよりも2秒少しタイムが落ちたのは、雨と、ラスト1周の障害の跳び方が影響していた。だが、1000mから2000mにかけての走りの手応えは悪くなかった。そこが今の三浦にとっては重要だった。