「“簡単に言葉にできない”という感想が一番嬉しい」
小川キャスター:
公開から5日というところで、日本でも様々なご意見がありましたけれども、国内外の反応をどうご覧になってますか。

是枝監督:
とても振り幅が広いというか、たくさんのお褒めの言葉も、お叱りの言葉も届いています。ただ多いのは「言葉にしにくい」という感想が多くて…。この映画も実は、言葉にできないことについての映画なので、簡単に言葉にできないという感想が一番嬉しいです。
小川キャスター:
私も見させていただきました。もう言葉にならない様々な感情が胸の中でないまぜになって、朝まで眠れませんでした。そんな感覚を覚える方も多かったんじゃないかなと思います。

山本恵里伽キャスター:
改めて是枝監督のプロフィールをご紹介させていただきます。
1962年6月6日生まれ、今日で61歳になられました。1995年、「幻の光」で映画監督デビューをされまして、その後「誰も知らない」「そして父になる」「三度目の殺人」など様々な作品を手がけ、2018年には「万引き家族」でカンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールを受賞されました。
小川キャスター:
パルム・ドールのときの拍手もすさまじかったですけれども、今回「怪物」の上映の際もカンヌでの拍手が鳴り止まなかったですよね。この中にいらっしゃったときというのはどんな感覚なんですか。

是枝監督:
今回、関わってくれたスタッフがたくさん同席してくれたので、そのことが本当に嬉しかったです。前回の「万引き家族」のときは樹木希林さんが隣にいて、「いつまでも手を振ってるのは、物欲しげだからすぐ帰りたい。みっともないから帰ろう帰ろう」って言っていたんです。今回は希林さんはいないんですけど、どこかから希林さんの声が聞こえるようで、拍手を浴びて、幸福感で…みたいなことはもうないですね。
山本キャスター:
あのときは希林さんのことを思いながら、立ってらっしゃったということなんですね。
是枝監督:
「早く帰りなさい」という声が聞こえてきました。