接戦区は軒並み逆転 2万票差あった選挙区も5600票差の激戦に

野党候補が逆転する試算となったのは、1区、10区、23区で、いずれも実際の選挙戦での票差が1万票を下回っていました。東京の接戦区は、軒並み逆転される結果です。

衆院選での東京10区・鈴木隼人氏 岸田総理も応援に駆け付けた

1区では、9090票差で山田美樹氏(自民)が当選しましたが、公明党支持層の票がすべて失われた場合、約800票差で海江田万里氏(立憲)に逆転される試算となっています。

10区は、7202票差の大激戦の末、鈴木隼人氏(自民)が当選しました。今回の試算では、さらに僅差の約140票差で鈴木庸介氏(立憲)が薄氷の勝利を収めることになります。

23区は、実際には小倉将信氏(自民)が6474票差で当選しましたが、試算では伊藤俊輔氏(立憲)が約5700票差で当選する結果になりました。

また、逆転には至りませんが、15区、16区、21区の3選挙区は新たな接戦区となる見込みです。このうち最も票差が縮まるのは16区で、実際には20361票あった大西英男氏(自民)と水野素子氏(立憲)の票差が、5600票あまりまで縮まる試算となりました。

これらの3選挙区では、自民党候補に入った公明票の一部が仮に野党候補に流れた場合、野党側が逆転する可能性も十分あり、これまで自民党が優位に展開していた地域にも黄色信号が灯る結果となっています。(なお、15区の柿沢未途氏は無所属・自民推薦で出馬し、当選後に自民党に追加公認されています)

選挙協力解消で失う票は最大で2万票超 盤石の地盤も揺らぐか 

公明党支持層の票が自民党候補に入らない場合、各選挙区で自民党候補が失う票は平均でおよそ1万3000票でした。最も多かったのは24区で、2万票以上を失う試算です。24区を構成する八王子市には、創価大学や東京富士美術館など創価学会の関連施設があり、公明党支持者の多い地域だと言われています。

自民・萩生田光一政調会長

24区は自民党・萩生田光一政調会長の地盤で、前回の衆院選では10万票以上の大差をつけて危なげない選挙戦となりました。今回の自公関係の悪化が、こうした選挙区にどのような影響を及ぼすのか注目されます。

次の衆院選では「10増10減」により多くの都道府県で定数と区割りの変更が行われます。東京では定数が5つ増えて、22選挙区で区割りが変更となります。

なお、今回の試算は「10増10減」が行われる前の区割りのまま、前回の衆院選でJNNが行った調査データに基づく試算であり、次の衆院選にそのまま当てはまるものではありません。また選挙区で落選した候補が重複立候補している場合、比例で復活当選する可能性もあります。

■算出手法
調査データから、各選挙区において「自民党候補に投票した」と回答した人のうち、「支持政党は公明党」と答えた人の割合を算出。各自民党候補者の実際の得票数から、この割合に応じた票数を減算する方法で試算を行いました。