違う角度からモノを見ると新たな発見が生まれる

そのステージは、倉敷市の玉島地区。かつては「瀬戸内海有数の貿易拠点」として栄えた港町です。当時の風景を彷彿させる施設もあります。

放置されていた古い小屋。

大月さんは、新たな施設に生まれ変わらせました。ここは「水辺のキッチン」です。

(大月ヒロ子さん)
「目の前の水路は昔からある水路で、玉島は干拓してできた場所なので、少し小高いところがつながっている。石垣になっているところは、江戸時代に堤防だった道です」

今では使われなくなった昔ながらの台所道具を使い、目の前にある畑で採れたものを調理できる場所です。使われなくなったモノや場所に新たな価値を見出す…その中で、人と人とのつながりも生まれてきたといいます。

(大月ヒロ子さん)
「身の回りにあるモノを使いながら、日々の暮らしの中で楽しめることをしたいと思って、その楽しさを周りの人とも一緒に分かち合いたい」

大月さんの活動は、取り組みに共感する人たちに支えられ、成り立っています。

(アゲモラ管理人 時実月夜さん)
「大月さんは、子どもみたいな人です。モノがもったいないから、捨てる前に『まだ使えるんじゃないかな』と考えるとか、そういうところは共通しているところだと思うので、一緒に遊べる友達」

Material Library(廃材展示室)にはカフェも併設されています。

(OURCOFFE 瀬良和生店主)
「『楽しみながらポッと生まれる』と大月さんがよく言うけれど、『無理してやらない』っていうのは僕の中でいいなと」

常に楽しみながら、仲間たちとともに港町で「クリエイティブリユース」に取り組む大月さんです。

(大月ヒロ子さん)
「水先案内人みたいな感じで、廃材を求めて移動しているうちにいろんな人に出会ったり、いろんな出来事が生まれたりとか、買ったばかりではないモノにいろんな『秘密』とか『魅力』とかが隠れているんじゃないかなと」

いつもとは違う角度からモノを見ると新たな発見が生まれる。その経験を多くの人に味わってほしいと活動を続けます。

(大月ヒロ子さん)
「廃材とかモノに込められている背景がわかったりすると、その人に親近感が湧いたりとか、地域に対しても『こういう歴史がある町に自分は住んでいるんだ』とわかると地域に愛着が湧きますし、そういうきっかけになる場所であったら嬉しい」

人や町をつなぐ豊かな地域の循環を生み出す「クリエイティブリユース」
私たちの生活も、発想の転換でいつもと違う景色が見えてくるかもと思わせてくれる、大月さんの取り組みです。