1960年代・70年代に数多く造られた「団地」。当時は『憧れの団地暮らし』でしたが、現在は価値が下がる一方です。そんな中で団地を新発想で大改造する「団地リノベーション」のプロに密着しました。
団地リノベを依頼した男性『古かったものが新しくなるのが楽しい』
職人たちが勢いよく壁を壊していきます。ここは築50年以上が経った団地の一室で、リノベーション工事が行われていました。
兵庫の神戸市垂水区と明石市にまたがる『明舞団地』は、JR朝霧駅からほど近い、約1万9000人が暮らす巨大ニュータウンです。今回工事が行われたのは最上階の5階の一室です。古い団地が抱える問題を解決へと導くリノベーション。どう生まれ変わるのでしょうか。
今年2月、工事が始まる前の部屋には前の住人の荷物がそのまま残されていました。荷物を整理するのは部屋を購入した44歳の男性。専門業者に処分を依頼するための仕分け作業をしていました。住居の広さは3LDK・57平方メートルのファミリー向けです。
(記者)「新築とかリノベをしなくても住めるくらいの物件を探そうとは思わなかったんですか?」
(男性)「楽しくない。古かったのがすごく変わったなとか、おもしろいな、みたいなのが楽しいので」
男性は独身で神戸出身。仕事の都合で現在は横浜で暮らしていますが、将来に地元に戻ってきた時のためにと購入しました。荷物があった分、相場より安い100万円で譲り受け、リノベーションした後に自身が住むまでは賃貸に出す予定だといいます。
(記者)「前の住人も売ってよかったなと思ってもらえたらいいですね」
(男性)「そうですね。思いを引き継いで新しくして、前の売り主さんが見に来ても驚いて喜んでくれるようなのは楽しみだなと思っています」
前の住人は高齢の夫婦で、病気や身体の衰えからエレベーターのないこの団地での暮らしが厳しくなり、部屋を手放しました。