大分地裁が永久保存を義務付けられた裁判記録を廃棄していた問題で最高裁は25日、「保存に対する消極的な姿勢が定着していた」などと最終的な調査結果を明らかにしました。
この問題は全国の裁判所で重大な少年事件や民事裁判の記録が廃棄されていたものです。大分地裁では永久的に保存する「特別保存」に指定された6件の民事裁判の記録が廃棄されていました。この中には2009年に県立竹田高校の工藤剣太さん(当時17)が剣道部の練習中に死亡したことをめぐる民事裁判の記録も含まれていました。剣太さんの両親は去年12月、廃棄された原因の究明や復元するルールなどを定めるよう最高裁に意見書を提出していました。
(最高裁判所事務総局・小野寺真也局長)「後世に引き継ぐべき記録を多数失わせたことに深く反省し事件に関係する方々を含めて国民の皆様に深くお詫びします」
最高裁は25日、調査結果をまとめた報告書を公表。剣太さんの民事記録の廃棄をめぐっては大分地裁の職員は一度は永久保存するべきものと判断していましたが、そのことを記録の表紙に朱書きするなどの決められた手続きを怠り、後任への引継ぎ内容が忘れられていたこともあって廃棄されました。
(剣太さんの母)「忙しかったから仕方ないよねで済ませるような結果であるとするならばとても残念」「復元できるものはしっかりと復元してもらいたい。それが今後の裁判などにつながると思う。必ず復元してもらいたい」
最高裁は報告書で復元は困難としつつ、今後の記録は国立公文書館への移管を協議しつつ検討するとしています。