こうしたサミットで気になる話題の1つがおもてなしの心を表す、首脳陣への贈呈品、おみやげです。今回、岸田総理からG7首脳に贈られたのは、セーラー万年筆の「彩雅万年筆」と、金城一国斎 さんの蒔絵が施されたペアグラスでした。

蒔絵グラス(七代 金城一国斎)

このペアグラスは、つい先日まで広島市内で制作されていました。

今にも泳ぎだしそうな鯉と、光り輝く紅葉の蒔絵があしらわれたグラス。手がけたのは、漆を使った伝統工芸品を創作する 金城一国斎 さんです。

七代 金城一国斎 さん
「やっぱり日本を代表する工芸の1つとして漆器のこういうグラスを選んでいただいたのは、とてもうれしかったですね」

広島市出身の金城一国斎さんは、江戸時代から200年以上続く漆芸家の7代目です。代々、受け継がれてきた技法である「高盛絵」によって、立体的で柔らかい曲線が表現されています。その作品は、これまでにも皇室行事や外交の場面でたびたび登場してきました。

今回は、特殊な技法でグラスに焼き付け塗装された朱色と緑の漆の上に広島を象徴する紅葉と鯉を描きます。やわらかいネコの毛の筆で繊細に表現される葉脈は、幅0.1ミリほど。

七代 金城一国斎 さん
「森羅万象というか、自然のもの、それから生きるもの、それらを込めていくわけなんですけども、春と秋という春秋ですよね、四季の移ろい。これをこのグラスに表現したということですので、そういった日本の四季のようなものも感じていただければなと思います」

首脳たちが好みに応じて選べるようにワイングラスとゴブレットが用意されました。

七代 金城一国斎 さん
「その国その国にお好きなものを、このグラスで何を飲もうかなと想像していただくだけでも楽しいんじゃないかなと。そういったことがこの器を通してのコミュニケーションですかね。それが、とても有意義なことではないかなと思います」

このペアグラスは、福屋のオンラインショップにて5月25日から限定販売されるということです。また、販売に先立って、福屋八丁堀本店・7階の美術画廊で展示していますので直接、ご覧になることも可能です。