ゼレンスキー大統領の訪日成果 三つのポイントから解説

―――まず一つ目として挙げた「G7との連携強化」はどう見ていますか。

大和大学 佐々木正明教授: 支援疲れ、ゼレンスキー疲れと揶揄する言葉もある中で、まだまだ戦争は続く。そしてG7から更なる支援を引き出した。そのうちの一つがF16戦闘機ですね。この戦闘機は、戦況におけるゲームチェンジャーとなりうる大きな武器です。

ただですね、反転攻勢が始まるとされる中で、F16戦闘機のパイロットの訓練が始まったばかりですので、戦場に投入されることはまだまだ先です。しかし、このパイロットが増えることによって、戦争後もF16戦闘機で空を守る、ロシアの脅威から抑止力になるような、ウクライナの安全保障になると思います。

実はウクライナのパイロットというのは、ロシア・旧ソ連製の戦闘機に慣れていますね。仕組みが違うんですね。やはり戦車と訳が違って、ちょっとしたミスで墜落する可能性もあるし、ミサイルの誤爆もあります。これは長期の支援が、訓練が必要だと思います。

―――二つ目「グローバルサウスとの話し合い」はどうでしょうか?

ゼレンスキー大統領は来日直後にインドのモディ首相と会ったんです。モディ首相は昨年9月にプーチン大統領と直接会って「今、戦争の場合ではない」と言ったリーダーなんですね。そしてG20の議長国でもあります。

インドが、ロシアの継戦能力の鍵を握るというのは、ロシアがインドに原油・ガスを売ったりダイヤモンドを売っているって話もあります。そこで資金を得て、今どんどん武器を供給している、とのことですから、インドが鍵を握る。まずそこに目をつけてゼレンスキー大統領が会いに行った。

そしてインドネシア、ジョコ大統領ですね。ゼレンスキー大統領が直接名前を出して「意義高いものだった」ということも言っています。この二国は人口も多く、グローバルサウスの国々でも影響力がありますので、二人の大統領に会ったのは大きいですね。