生のゼレンスキー氏の印象は「緩急」
―――改めて大吉アナウンサーに聞きます。会見の様子はいかがでしたか。
本当に歴史的な瞬間でした、私もいろいろな会見を経験しましたが、膝が震える思いで何とか質問をさせていただいたんですけれども、ゼレンスキー大統領の会見は、大体30分くらい全部を通して感じたことが、「緩急」を使い分ける大統領だなというふうに私は思いました。
登場して10分弱、ここはいわゆる『ゼレンスキー節』です。強い声帯で、胸に響かせるような声で、立て板に水のごとく自分のメッセージを伝えていく。ただ、その後私が質問をしたときなどはですね、原爆の話になってくると、時折言葉を選びながら、次に話す言葉が見つからないそんなシーンもありました。
さらに海外メディアが「今回の訪日で、ブラジル大統領だけ会ってませんよね、これはブラジルがロシアに資金を提供しているからですか」こういった質問などもあったんですが、ここに関しては、「ブラジルがロシアに武器を提供している証拠はない」と、少し間を置いて話しながら、ブラジルにも配慮しながら、かなり石橋を叩くように表現しているな、という印象を受けたんです。
ゼレンスキー大統領って、前のめりとか、強い、戦うリーダー、このイメージが先行していると思うんですが、編集されていない生の全てのスピーチを見ていると、いい悪いは別にして、慮る人、配慮する人、繊細な政治をする人、一国の大統領ですから当然といえば当然なんですが、私はそういう側面を今まで見たことがなかったので、実際に見てそこが一つ意外なポイントではありました。