被爆者はG7サミットをどう見ていたか―?

爆心地から3キロの自宅で被爆し、長く後遺症を患った佐久間さんは…
佐久間邦彦さん(広島県原爆被害者団体協議会理事長)
「被爆の体験、悲惨さはどうなのか、核兵器の非人道性はどうなのか、理解して頂くように、私たち被爆者はそれを願っています」
1歳で被爆した田中さんは、核保有国の訪問に複雑な思いを隠しません。
田中聰司さん(広島被爆者団体連絡会議事務局長)
「いわゆる核のカバンが(広島に)持ち込まれたことが報じられ、非常に残念に思っています。今日の雨は涙雨だと、多くの死没者、被爆者の涙の雨だと思ってテレビを見ていました…」
被爆者たちが大きな注目を寄せる中、今回広島を訪問したリーダーたちの反応は?
原爆資料館を見学したフランスのマクロン大統領は「平和のために一緒に行動しましょう」とツイート。
またイギリスのスナク首相も、こう語りました。「最も暗い瞬間も含めて、“過去”から学ぶことが重要です―」
「被爆の実相」を語り継ぐ

「過去を学ぶ重要性」
核兵器禁止条約の締結に尽力した被爆者・サーロー節子さんは、今その役割を若者たちに期待します。
サーロー節子さん
「何年にもわたって核の被害者は、非核による平和というトーチを掲げてきました。このトーチを受け継ぎ、これまでになく高く掲げてくれる、より若い、より強い手が必要です」
過去に向き合う若者がいます。広島出身、大学3年生の高垣慶太さん。
戦時中、開業医として被爆者の治療に当たった2人の曽祖父の体験を聞かされたことが原点となり、核兵器禁止条約の会議などで、その体験を発信してきました。
高垣慶太さん
「核兵器が向けられている先に、一人一人の人間がいるんだっていうこと。(G7首脳が)この広島で見たもの、出会った被爆者たちの顔を思い浮かべることが、広島サミットをやったことの成果になり得ると思っている」
被爆者が、そして若者が語り継ぐ「被爆の実相」
2016年、オバマ大統領の来日時に平和公園で抱擁を交わした森重昭さんは、改めて各国首脳たちに訴えます。
森重昭さん
「77年も経ってまだ核で苦しんでいる。各国のリーダーの皆さん、人間が生き延びることができるのか、死んでしまうのか、その運命を握っているのが皆さんだから、ぜひこのことは肝に銘じて戦争をやめさせるようにお願いしたい」
広島で初となるG7サミット。被爆者たちが見つめる中、世界の首脳たちはそれにどう応えるのでしょうか―。
(サンデーモーニング2023年5月21日放送より)