前半のスピードの進境と持ち味の後半の強さ

中島の武器はラスト100mの強さである。

昨年の関東インカレの4走で4人抜きを演じたときも、ラスト100mで2人を余裕で抜き去った。ラップは44秒9。世界陸上オレゴンで4位に入ったときのラップは44秒68で、決勝進出9チーム中7番目だったが、最後の直線は安心して見ていられる走りだった。

しかし今年の関東インカレ(5月14日)では、3走終了時の前との差が20〜30mと大きかったこともあり、自身の特徴を発揮できなかった。レース後に関東インカレまでを総括しながら、1週間後のGGPに向けて次のように話した。
「今日は前半のスピードを抑える意識が働いてしまいました。以前は前半から行く恐怖がありましたが、克服できたと思っていました。世界で戦って行くには最低でも21秒台前半で入っていかないと置いて行かれます。世界陸上の決勝進出という目標を考えたら、良い動きで前半を突っ込んで、いかにラストをキープできるかが重要になります」

しかし、今季やりたい動きはできていたという。冬期トレーニングの課題として「接地の際に一度沈む動きになると、タイミングが遅れてスピードが出ない」ことを改善してきた。4×400mリレーは助走付きでスタートするので前半が速くなるが、関東インカレは21秒2で400mを通過した。

静岡と木南では競り合いにならなかったこともあり、「ラストの腕振りが小さくなって、本来のスパートがかけられなかった」という。改善された接地の速い走りで「前半をあまり考えずにスーッといく走り」をして、ラストは腕をしっかり振って昨年のような強さを発揮する。それができれば44秒台は出せる。
「GGPでは前半を意識しないでも速く走って、後半で競り合えれば記録を狙う上でプラスになります」

佐藤拳太郎に加え、昨年45秒40の佐藤風雅(26、ミズノ)、世界陸上4×400mリレー2走の川端魁人(24、中京大クラブ)と44秒台候補が増えている。中島は「間違いなくワクワク感が大きくなっています。高いレベルで競り合って記録を出したい」と目を輝かせた。