毛田千代丸キャスター:今週は、TBS系プロジェクト「地球を笑顔にするウィーク一緒にやろうSDGs」ということで、子どももわかるSDGsでお馴染みの深井宣光さんに登場していただきます。深井さん、よろしくお願いいたします。
深井宣光さん:よろしくお願いします。
毛田:八尾町在住の深井さんは、SDGsの入門書「小学生からのSDGs」に続き、今年、「SDGsビジネスモデル図鑑・社会課題はビジネスチャンス」を出版されました。そこできょうは、SDGsとビジネスの可能性について教えていただきます。SDGsは、一般にはビジネスに結びつかないと考える人が多いと思うのですが…。
深井さん:キーワードは「社会課題」の解決です。今、少子化・人口減少は大きな社会課題となっています。今、私たちの暮らす日本では、毎年78万人、佐賀県や山梨県一個分ほどの人口が減り続けているんです。これはつまり、国内を対象にするほとんどのビジネスのお客さんが、少なくなっていることを意味します。現在、日本にある会社の3分の一が赤字と言われていますが、今後もこれまでのビジネスを、これまで通りのやり方でやっていれば、この状況はもっと深刻になっていくとみられます。だからこそ、今、新しい産業を生み出していかなければならない!岸田政権が発表した「スタートアップ5か年計画」でもこれまでになかったビジネスの重要性が求められています。
手田:でも、これまでになかったビジネスのチャンスをみつけることは大変ですよね。
深井さん:実はそのチャンスこそがSDGs、つまり「社会課題をビジネスで解決する」ということなんです。SDGsに繋がる社会課題をビジネスで解決しているスタートアップが今急成長しているんです。
毛田:富山にもそのような会社がありますか。
深井さん:こんな会社がありますよ。ウィッグを作っている会社です。
毛田:ウィッグがSDGsと関係あるのですか。
深井さん:まずは、取材してきたのでご覧ください。
深井:「起業家を応援するシェアオフィスに入居している「ハリイ」さんです」ハリイさんは、県のとやまスタートアップ事業「T―スタートアップ」6社に選定されました。代表は、池野順子さん。池野さんがスタートさせた事業は…。
池野順子さん:「スポーツウィッグを開発しています」
池野さんは、5年前に汎発性脱毛症を患い、髪の毛などを失いました。
池野さん:「ヨガをやっていたけど、ウィッグをしたままで下を向くポーズでひやひやした。とれた姿を見せたくない、この思いをするならあきらめようか…」
アメリカの統計によると、脱毛症は全人口の0.1%から0.2%が発症すると言われ、日本だけでも12.6万人。さらに抗がん剤治療の影響を受けている人が20.9万人。合計で33万人が悩みを抱えている可能性があります。
池野さん:「私の場合、患者自身なので、起業というよりウィッグをつくりたいという一心。想像以上に求めている人がいる。自分もほしいし求められているものなので作ってきた」
池野さんは、スポーツウエアの商品開発に長年かかわった経験と、最先端技術を活かし、スポーツができる医療用のウィッグを開発しています。
深井さん:池野さんのウィッグは、現在、開発中で今年中の販売を目指しています。
毛田:困っている方々の悩みを解決する素晴らしい起業だと思います。ところでこのウィッグとSDGsとの関りがわからないのですが…。
深井さん:これはSDGsの項目でいうと3、すべての人に健康と福祉を10、人や国の不平等をなくそう12、つくる責任、つかう責任にの対象となります。
毛田:なるほど、特に女性として髪の毛がないことによる不平等をなくそうという項目を強く感じますね。
深井さん:そうなんです。このウィッグの事例を整理してみると、病気を髪を失ってスポーツができない「社会課題」があって、調査すると33万人の「市場規模」があり、今までになかった医療用スポーツウィッグで「課題解決のためのビジネス」をつくる。社会課題解決型のビジネスとして持続して不平等をなくすための活動ができるようになります。池野さんは、こんなこともおっしゃってました。
池野さん:「販売していくことが社会貢献につながる。それが重要だなと考えています。海外に販路を持つパートナーを探して世界に発信していくのがビジョン」
毛田:SDGsで儲けを出すのはダメなような気がしてましたが収益をあげることによって持続する活動になるわけですね。深井さんありがとうございました。深井さんの書籍では、多数の社会課題解決型のビジネスモデルを知ることができるということです。皆さんもSDGsを考えるヒントにしてみてはいかがでしょうか。