不適切な“謝罪の会”の末に…

今、学校のいじめ対応をめぐって、不適切な「謝罪の会」の存在が指摘されている。加害者と被害者がある日、教員に急に呼び出され、いじめがあったことを両者の間で確認。教員から「どうするの?、ほらっ」などと促され、加害者が上っ面だけで「ごめんなさい。もうしません」という謝罪と反省の言葉を吐く。真の反省もないまま握手をさせられるわけだ。学校側は、それで済んだことにするケースが少なくないのだ。

被害者の気持ちに寄り添い、心の底から反省できたら、いじめを繰り返さないはずだが、それがないために繰り返してしまう。場合によっては「お前、チクったな」と不適切な“謝罪の会”をきっかけに、より見えないところにステージを移して、いじめが悪化するケースもあるという。

重大事態の詳細分析を<予防>に繋げる

文科省は今後も毎年、こうした重大事態の以前の状態について分析し公表していくとしている。文科省児童生徒課の井川恭輔・生徒指導調査官は「重大事態がなぜ発生したのか。深掘りしていくことが大事だ。重大事態になる前の状態についても、これから経年を見ていくなどで分析を続ける」と答えた。

こうした深掘りに欠かせないのが、4月から始まる「重大事態」の国への直接報告だ。文科省は、各教委に重大事態の発生直後の報告だけでなく、詳細な報告書の提出もあわせて求めた。

国が重大事態の報告書を集約し、どういう要因が重大事態の発生に繋がったのかを精査し、共通する要因を整理する。そしてその知見を再発防止策や未然防止策の改善に繋げる。重大事態への対応の地域格差も指摘される中、地方それぞれに任せておくわけにはいかない。今、国の本気度が問われている。

執筆者:TBSテレビ「news23」編集長 川上敬二郎