建築業者Xは一部の施工ミスは認めたが…

 雨漏りを防ぐには屋根を全て作り替える必要などがあり、少なくとも約2200万円の費用がかかるといいます。そこで田中さん夫婦は、家を建築した業者Xに対して修繕費を支払うよう求めました。
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 ところが業者Xは次のように返答しました。

 【業者Xからの示談書案より】
 『解決金として880万円をお支払いすることで解決したいと考えています』

 一階床下の漏水については施工ミスを認めたものの、他の漏水箇所については責任はないというのです。

 (田中さん・妻)「こちらの請求額(約2200万円)に対して約800万円という返事なので、最初きた時はびっくりしました。調査報告書というすごく分厚い報告書を送らせていただいているんですけどね」
 (田中さん・夫)「調査報告書に対する見解等は一切なく、弁護士を通じて約800万円で手うちでどうですかと連絡してきた」

 取材班が改めて業者Xに取材を申し込むと、代理人から文書で回答がありました。

 【業者Xからの回答書より】
 『漏水箇所については、設計者であるA氏の設計と指示により施工した工法であり、これら工法選定から生じた過誤の責任は、施工業者である弊社ではなく、設計・施工監理者であるA氏が負うべきものです』
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 田中さんは、外国人のデザイナーA氏に家のデザインを依頼して、このデザイン案を基に業者Xから依頼された建築士B氏が設計、業者Xが建物を建築したといいます。設計と工事監理については誰とも契約を結んでおらず、業者Xは責任があるのは工事監理者であるA氏だと主張しているのです。
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 しかし、市に提出した建築計画書などには、設計者と工事監理者としてA氏ではなく、建築士B氏の名前が書かれていました。取材班はB氏に取材を申し込みましたが、B氏は「何も答えません」と回答を拒否しました。

住宅問題に詳しい弁護士の見解

 一方で住宅問題に詳しい辻岡信也弁護士は、建築士B氏に設計を依頼したことから業者Xが責任を免れるのは難しいと話します。

 (辻岡信也弁護士)
 「デザイナーA氏が設計の内容になるようなものを持ってきたというのであれば、その内容を確認する必要がありますけれども、それが仮にデザインだけだというのであれば、それを建物の形にしてつくりあげるのが設計のお仕事ということになります。その設計の仕事を誰がやったかという認定がされていくことになる。それが今回、業者Xの範ちゅうだということになると、業者Xの責任は免れない」