入管法改正案が、国際ルールに反するおそれ

小川彩佳キャスター:
2年前、スリランカ人のウィシュマさんが死亡した問題が明らかになったこともあり、当時の入管法改正案は廃案になりました。それが今回、再提出されたわけですが、改正案のポイントは?

TBS 萩原豊 解説・専門記者室長:
ポイントは3つです。
(1)補完的保護制度の創設
(2)収容をめぐる諸問題の解決
(3)3回目以降の申請者などの強制送還(新資料がない場合)
(1)補完的保護制度は、例えば、ウクライナ避難民といった紛争から逃れてくる人たちを保護しようというものです。
(2)収容をめぐる諸問題の解決は、ウィシュマさんの死亡を受けて、収容のあり方そのものを見直そうというもの。
そして今回、特に問題点が指摘されているのが、(3)3回目以降の申請者などの強制送還を進めようというものです。
入管庁は「難民認定申請を繰り返すことによって、退去を回避しようとする外国人がいる」と説明します。確かに、難民申請を繰り返して、権利を濫用して、日本に留まろうという人がいれば、有効になってくると思うのですが…
難民とは、「人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団に属するとの理由で、自国にいると迫害を受けるおそれがある」人々のことを言います。

そして、難民の人たちを危険にさらさないように、「ノン・ルフールマンの原則」による「難民を強制送還してはならない」(難民認定前の人を含む)という国際社会の重要なルールがある。
今回の改正案が、これに反するおそれはないかという疑問の声も上がっているんです。
山本恵里伽キャスター:
ただでさえ日本は、「難民鎖国」と言われているわけで、国際社会からはどう見えてるんでしょうか?
TBS 萩原豊 解説・専門記者室長:
国連も注視しています。UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のスイス本部に、直接聞いてみました。

今回の改正案について、「日本の難民保護を改善するために協議を続けている」。前回の法案の際に出した、「非常に重要な懸念を生じさせる、さまざまな側面がある」という見解は有効である、としています。