堀内浩幸 教授
「成分分析を進めていて、まだ公表していませんが、ざっくり言うと、(ゲノム編集しても成分は)何も変わりません。(通常の卵は)クッキーにしたり、加工食品、練り物に入れたりとかでもアレルギーが出ちゃうんですよ。しかし、われわれが作った卵の安全性がきっちりと確認されれば、ほぼ卵アレルギーの人は全部、食べられるようになる」

今年度、安全性の臨床試験を実施し、2年後の大阪万博で「未来の食」として発表。その後、商品化につなげたい考えです。商品化されれば、“世界初のアレルギーのない卵” になります。

広島大学 生物生産学部 堀内浩幸 教授
「医薬品などでも卵はよく使われている。カゼ薬の注意書きには卵アレルギーの人は気をつけてくださいと書いてある。それから、季節性のインフルエンザワクチンも打てない人がいる。そういう人にもこの(ゲノム編集した)卵が利用できないか」

広島大学のゲノム研究は、卵だけではありません。

広島大学 ゲノム編集イノベーションセンター

河村綾奈 キャスター
「ゲノムを研究するための拠点が、こちら広島大学のイノベーションプラザに集まっているということです」

4年前に設立された広島大学 ゲノム編集イノーベーションセンター。約20人の研究者の中心にいるのが、ゲノム編集学会も立ち上げた第一人者・山本卓 教授です。

広島大学 ゲノム編集イノベーションセンター 山本卓 センター長
「ゲノム編集とは、わかりやすく言うと、自然に起きる変化を効率よく生み出すことができる技術です。いい性質を自然の変化と同じような形で起こすことができるバイオテクノロジーなので、研究者にとってみると、ゲノム編集が2020年にノーベル賞を受賞したんですけど、当たり前」

ノーベル賞を受賞したアメリカの研究者のゲノム編集技術は、広島大学でも活用されています。

山本卓 センター長
「これは、食糧問題を考えたときには必ず利用しなくてはいけない技術になると思っています。例えば、食品廃棄の問題を考えると、腐りにくいトマトを作るとか、ジャガイモも芽が出ると食中毒になるが、その毒が作られないようなジャガイモも開発されています」

こうした研究をさらに進めていくために先月、導入されたのが、ゲノム解析の最新の実験装置です。西日本では初めての稼働となります。