ワンピースの「麦わらのルフィ」。

これが設置してあるのが、作者・尾田栄一郎さんの故郷、熊本県です。2016年の熊本地震の復興支援で、ルフィが船長を務める海賊団のキャラクター像10体が熊本県内各地に設置され、今では人気観光スポットです。

熊本地震から7年がたちました。当時、取材で現地に入ったtys・永岡克也アナウンサーは、家が崩れてしまったという1人の野球少年と出会いました。彼が20歳を迎える今年、久しぶりに会いに行きました。その成年がいま思うこと、そして、新たに見つけた将来の夢とは?

永岡克也アナ
「街のシンボル熊本城にやってきました。黒く重厚感ある見た目が特徴の天守閣はおととし復旧工事を終えました。春の行楽シーズンということで多くの観光客で賑わっています」

しかし、天守閣から少し離れると…

永岡アナ
「震災後に作られた、こちらの特別見学通路。復旧工事の妨げにならないよう6メートルの高さに設置されています。この通路からは崩れた石垣やゆがんだ建物を見学することができます」

地震の爪痕は今も色濃く残されています。石垣を元どおりに組み直す作業が特に難しく、城全体が完成するにはあと30年かかるそうです。

2016年に発生した熊本地震。2度にわたる震度7の揺れで、熊本県内で関連死を含めて270人以上が亡くなりました。

永岡アナ(当時)
「大きな被害を出した熊本県益城町に来ています。ご覧の通り、ブロック塀は崩れ、粉々に砕けています」

入社3年目だった私も3日間、応援取材で現地入りしました。主な取材場所は、熊本市の東に位置する益城町。1万を超える住宅が全壊や半壊などの被害を受け、避難者が1万6000人を超えるなど、最も大きな被害が出ました。取材の途中、1人の野球少年と出会いました。

当時、中学校に入学したばかりだった、田上翔大さん。自宅と親せきの会社を兼ねた建物は、完全に崩れていました。

益城中1年(当時)田上翔大さん
「ひとごとと思っていた地震が、この益城町にくると思ってなかったんで、びっくりして。もうなんか涙が出そうで」

その翔大さんと7年ぶりに再会するため、益城町を訪ねました。

永岡アナ
「お!こんにちは。久しぶり!うわ~ちょっと感動しますね」

田上さん
「たぶんあのときも興味本位でこういう取材とか受けてしまったのかなっていう感じで」
永岡アナ
「ははは、大丈夫?取材が後悔になってない?」
田上さん
「いやいや!なってないです全然!逆にありがとうございます、ここまで来てもらって」

この春から専門学校の2年生。身長はすっかり追い抜かれましたが、優しい目元や表情に懐かしさを感じました。当時通っていた、母校の益城中学校に向かいました。地震から半年後に中学校での部活動の様子も取材していました。被害を受けた当時の校舎は取り壊され、新しく建て替えられていました。

田上さん
「元の生活に戻りつつある町とかその姿を見て、やっぱり自分も引きずってばっかりじゃだめで、やっぱり元の生活に戻るように頑張っていかないとなっていうふうに感じたところですね」

地震発生時は妹2人を含む家族全員が偶然、祖母の家にいたため無事でした。大変な状況のなかで翔大さんが取った行動は…