変わり果てた故郷で阿部さんは家業を継ぐことに
転機が訪れたのは12年前の東日本大震災でした。当時は福島の高校で教えていた阿部さん、雄勝の情報はなかなか入ってきませんでした。震災発生から2日後。ようやく雄勝に戻ることが出来ましたが、故郷は変わり果てた姿になっていました。

阿部優一郎さん:
「雄勝に来た時点で自分が知っている光景ではなかった。家もきれいに流されて」
弟は、すぐに遺体で見つかりました。親戚を助けに行って津波に巻き込まれたといいます。母親は、未だに行方がわかっていません。
阿部優一郎さん:
「最低限の食料を持って、もしかして裏山で腹すかしてるかもしれないなと思って来たのがまさか・・・」

墓には、流された実家の跡地で唯一見つかった母親の衣服を納めました。

阿部優一郎さん:
「なんとか骨の1本でも見つけてあげたいなと、ここに来ると思いがこみあげてくるので、そういうのもあって、ここにいなくちゃいけないのかなと気持ちになるときでもある」
その後、すぐに教師を辞め地元で漁師を始めました。