宮城県石巻市雄勝町、東日本大震災で弟を亡くし母親が行方不明となっている男性がいます。震災をきっかけに教師を辞め漁師になった男性は、故郷でギンザケの養殖に取り組んでいます。

10万匹のギンザケを養殖する漁師

石巻市雄勝町の沖合。海の中には銀色に輝く無数の魚、ギンザケです。この養殖場では、3月からギンザケの水揚げが始まりました。未明から漁師9人があうんの呼吸で1時間半、水揚げ作業を続けました。

雄勝町でおよそ10万匹のギンザケを養殖している漁師の阿部優一郎さん(52)です。

漁師 阿部優一郎さん:
「今年の市況はだいぶ良い値段で取引してるから上々の滑り出しって感じかな」

この日は2500匹、およそ3500キロを水揚げしました。取った魚はすぐに氷水で絞めます。そして、石巻魚市場にトラックで運ばれ競りにかけられます。

県内の養殖ギンザケの水揚げは、去年は1万7000トン余り。国内のおよそ9割を占め、復興を支えています。

漁師 阿部優一郎さん:
「おいしいって言ってもらえるような魚をたくさん作ることが一番の醍醐味だね」

仕事仲間も阿部さんを慕っています。

仕事仲間:
「漁師はいろいろな人がいますけど、阿部さんは真面目ですね。朝晩と餌やりもしているので尊敬してます」

ギンザケには、1日2回に分けて1500キロもの餌を与える必要があり、朝5時には港に出ます。

漁師 阿部優一郎さん:
「まず体力がないとやり続けられない。餌は毎日やりますから、9ヵ月休みなしで水揚げだったり選別作業をやりながらになるんで」

阿部さんが漁師になったのは11年前。以前は全く別の仕事をしていました。