久保田智子さん「生みの母だれ?って(娘に)言われて」

久保田智子さんの長女・はなちゃん(仮名)。38歳で夫・典明さんと結婚し、2人で話し合いを重ね、育ての親として民間の事業者に登録。そして2019年1月、生後7日のはなちゃんを家族に迎えました。

もうすぐ4歳――
久保田さん:
「生みの母」って誰だっけ。
はなちゃん(仮名):
わからん。

久保田さんは時々こんなふうに生みの母の話をしています。子どもに生い立ちを伝えることは「真実告知」と呼ばれています。成長してから、突然養子縁組されたと知ると、ショックを受けてしまう場合もあるため、幼いうちから生みの親の存在を知っておくことが望ましいとされています。
久保田さん:
真実告知ってのを全然してなくって、特に口に出してないよね。
典明さん:
でも”生みの母”とか言うよ。
久保田さん:
言う?なんて言う?
典明さん:
生みの母、最近何してるかね、って。
久保田さん:
どう?反応は。
典明さん:
あんまり反応返ってこないかな。

久保田さんは、はなちゃんが生まれたときに一度だけ生みの母と会ったことがあります。ただ、あっせん事業者のルール上、直接やり取りはできず、詳しい情報は知りません。
久保田さん:
「生みの母だれ?」って言われて。最近言うんだよね、自分たちが知ってるものを言うのが、なんか誠意のような気がするんだけど。
典明さん:
難しいよね、それはね。濃淡あるけど伝えられるものは伝えるし、伝えられる形で伝えるしかないんじゃない?
久保田さん:
うーん、この(伝え方の)形がわかんないんだよね。
子ども生い立ちを伝える“真実告知” あるべき形とは

久保田さん家族が訪れたのは、特別養子縁組で子どもを迎えた家族が集まり、真実告知について考える会。
養親の参加者:
たまたま我々は選ばれて家族になったんだよ、みたいな感じですね。本当は私のお腹の中に来るはずだったけど、神様が他のお母さんというか産んでくれた人に頼んで、代わりにお腹の中で育ててくれたらしい、って感じですね。
養親の参加者:
この話をするぞっていうふうにこちらは構えてなくても、『そういえば僕を産んでくれた人の名前何やったっけ』とか、いきなり聞かれて、日常会話の中に真実告知が時々入ってきてるっていう。
