「息子を新しい人に託したいです」子どもの幸せのために決断
自身が特別養子縁組の育ての親であることを様々な形で発信している久保田さん。
生みの親たちはどんな思いを持っているのか。4年前、息子を育ての親に託した女性を取材しました。

”生みの親” かおりさん(仮名)(24):
当時夫と結婚をしていて、本当に子どもが欲しかったです。育てたいと思って産みました。妊娠したときはすごく嬉しくて、母子手帳はびっちり書いてあったと思います。ただ、私もマタニティブルーになっちゃって『耐えられないから、離婚か、中絶して』って言われた。何としてでも私はお腹の子を産みたかったから離婚するしかないなってなって。まず乳児院に預けて。

かおりさん(仮名):
産後1か月で働きました。けど働けなかったです。体がついてこない。お腹痛いし。けどそれでも何とか何とかって言って頑張って面会に行けるようになったんですね。かわいいなって。写真もいっぱい撮って。すごく楽しかったんですけど、毎日不安でした。20歳で産んで、資格もなくて、手に職ついてるわけでもない中で、私が育てたらそれは私の幸せなんだけれど、それが息子の幸せになるかって言われると、そうじゃないなって思ってしまった。この子の記憶に私が残らないうちに決断をしなくちゃなと思っていて。

考え抜いた末、息子が生後5か月になるときに自ら児童相談所に行きました。
かおりさん(仮名):
「この紙に判子押したら戻ってきません、それでもいいですか?」っていうのをすごくすごく丁寧に説明してくれた上で、「息子を新しい人に託したいですお願いします」っていうふうに頼んで、特別養子縁組を選びました。
かおりさん(仮名)は育ての親と直接会ったことはなく、息子の近況は全く知りません。

かおりさん(仮名):
子どものことが想像がつかないですよね。どんな大きさで、どんな声をしてて、どんな顔で笑って。どういう感情か言葉にできないんですけどボロボロ涙がこうやって出てくる。ただ、きっと養親さんは幸せな誕生日会を開いてくれてるんだろうなって思うと、それだけで私は幸せになれるというか。