生まれる、育つ、生い立ちを知る…。血のつながりはないけれど、子どもを“迎えて”家族になる特別養子縁組。生みの親、育ての親、そして子ども…それぞれの思いとは。娘を迎えたTBS NEWS DIG久保田智子編集長と考えます。

「ママから生まれたかった」迎えた子どもが始めた“赤ちゃんごっこ”

特別養子縁組で家族になった田中さん夫婦と4歳のあいちゃん(仮名)。

あいちゃんは3歳まで生みの親と暮らしていましたが、去年の春、田中さん(仮名)夫婦に迎えられました。

田中友二さん(仮名):
これまでの生い立ちも、それも自分だっていうふうに思ってほしいし。ここでの生活も、これも自分だっていうふうに思ってほしいっていうのもあるので。何一つ隠し事もなく僕らも話してるし、あの子もあのときこうだったんだよとか、こんな思い出あるよとか。そんなふうに今話してくれるので。

「特別養子縁組」とは、様々な事情により生みの親が子どもを育てることが難しい場合に、育ての親と親子関係を結ぶ制度です。児童相談所や民間の事業者などが間に入って支援し、裁判を経て成立。生みの親と子どもの親子関係はなくなります。

この家に来て半年以上経ち、「自分の家」というようになったあいちゃん。ある変化がありました。

田中友二さん(仮名):
七五三の前日に、自分の幼少の頃の七五三の写真とか、妻の幼少の頃の七五三の写真とかを見て、パパは誰から生まれてきたのとか、ママは誰から生まれて来たみたいな。話の流れの中で、自分もママから生まれたかったな。っていうふうな話を本人がして。

田中由子さん(仮名):
そういう話をした日から、あのタオルケットを持ってきて、”赤ちゃんごっこ”が始まったというか。

田中友二さん(仮名):
お母さんから生まれてくるようなイメージというか、思いをはせているっていうようなのを聞かせてもらってたので。

田中由子さん(仮名):
不思議なもので、あれ(赤ちゃんごっこ)をすることで、本人も何か整理をしてるんだろうし、それを一緒にしてるこちらも、母になる、親になる。親子になっていってるのかなっていう。ここに来る前に、「優しいパパとママが待ってるよって(生みの親が)教えてくれたからここに来たんだよ」って。そういう思いを、3人で受けとめあって、そういうふうに送り出してくださった存在に本当に感謝してます。