台湾メディアは「まさに揺れ動く世論」

―――では台湾ではどのように報じられているのかというところですけども。各新聞ですね、記者によりますと、蔡英文さんの訪米会談については「中国の圧力でアメリカとの交流を自粛すれば、中国のレッドラインを前進させるだけ」と報じています。批判的な論調はなかったということです。一方の馬英九さんの訪中に関しては、「台湾の中国政策を担当する政府機関が一つの中国ともとれる発言をした馬英九氏を批判した」と各社が取り上げて批判をしているという。蔡英文氏に関しては批判がなくて馬英九氏に関しては批判されているという論調です。台湾でのこういった報じられ方を見てどんなことを思われますか。

関山健 京大准教授: これまさに、台湾の揺れ動く世論を端的に表した声かなと思います。台湾の世論というのは、中国との関係で非常に微妙なバランスを揺れ動く特徴があります。というのは、台湾の世論をですね、中国との経済関係なくして、繁栄はないという銭勘定と、一方で中国共産党に取り込まれたくないっていう独立意識の間で常に揺れ動いているのですね。

 そういう意味で、中国との統一志向が強い国民党所属の馬氏の行動に対しては独立意識が強い台湾世論から批判を受ける。逆に中国とあまり揉め事を起こしたくない世論からすると蔡英文氏のようにアメリカに訪問して中国共産党を刺激するような動きはやめてくれと、こういうことだと思います。

―――非常に揺れ動くというところですけども、世論で言いますとどっちの方がマジョリティーだと思われますか。